【11月4日 AFP】厚紙で作った眼鏡をかけたマニアの間の一時的な流行と思われていた3Dが、映画業界で見直されつつある。専門家は一般の映画ファンにも普及していくだろうと分析している。

 1950年代、『大アマゾンの半魚人(The Creature from the Black Lagoon)』などの映画で観客を楽しませた3Dはその後、技術的な発展をとげ、最近の映画の興行収入を押し上げている。

 ピクサーの『カールじいさんの空飛ぶ家(Up)』からジェームズ・キャメロン(James Cameron)監督の『アバター(Avatar)』まで、今年は北米で3D映画がすさまじい勢いで復活した。キャメロン監督の『タイタニック(Titanic)』など、過去の名作を3Dでリメイクしようという動きもある。

■普及の要因は?

 ウォルト・ディズニー(Walt Disney)のマーク・ゾラディ(Mark Zoradi)氏は、3D復活の一因を技術の進歩だと語る。

「デジタル技術のおかげで3Dはスクリーンでよりシャープで明るくなった。観客にとって非常に見やすいものになっている。3Dは家庭では体験できないので、映画ファンが劇場に足を運ぶきっかけになっている」

 ゾラディ氏は、3Dを上映できる映画館の増加も普及の一因と指摘した。ディズニー初の3D『チキン・リトル(Chicken Little)』が公開された2005年は、米国内で3D作品を上映できる映画館はわずか84館だったが、最新作『Disney'sクリスマス・キャロル(A Christmas Carol)』は北米の2000館で上映されるという。

■広がるジャンルの幅

 これまで子ども向けの作品、アニメ、ホラーなどに限られていた3Dだが、今はそれ以外のジャンルの映画でも採用されている。12月に公開される『アバター』や、日本では来年4月に公開予定のティム・バートン(Tim Burton)監督作『アリス・イン・ワンダーランド(Alice in Wonderland)』も3Dだ。

 サスペンスホラー「ソウ(Saw)」シリーズのプロデューサー、ジェイソン・コンスタンティン(Jason Constantine)氏は、ジェームズ・キャメロン監督が3Dの可能性を広げると語り、3Dは一時的な流行にとどまらないと述べた。

 2010年に3Dで公開予定の「ソウ」シリーズ第7弾についても、コンスタンティン氏は「誰も経験したことのないような3Dホラーにしたい」と自信を見せた。

■3Dの今後の発展は?

 ゾラディ氏によれば、不景気の時代でも3Dのおかげで業界は活気づき、映画館に足を運ぶ人の数も伸びているという。

 同氏はさらに、米国で6日に公開される『Disney'sクリスマス・キャロル』の観客の半数は3D版を見るだろうと予測し、遠くない未来に主要な作品は3Dでしか公開されなくなるだろうと語った。

 3Dはさらに家庭にも進出し、DVDの販売やレンタルを増加させるかもしれない。ゾラディ氏は次のように予測する。「3D用のテレビは現在すでに製造されている。今後2~5年で一般に出回るだろう」(c)AFP/Romain Raynaldy