【7月9日 AFP】7日にロンドン(London)でワールドプレミアを迎えたシリーズ最新作『ハリー・ポッターと謎のプリンス(Harry Potter and the Half-Blood Prince)』に対し、英各紙は8日、十代の恋愛模様を描いたことによりおなじみのスタイルに新鮮みが加わりファンは今回も魅了されたと評価した。

 タイムズ(Times)紙は、著しく原作から離れたが期待を裏切らない作品と評し、最高5つ星のうち3つ星を与えた。

「新作はこれまでのシリーズと同じようなスタイルであることは確かだが、ファンに関して言えば非常に受けている」

「デヴィッド・イェーツ(David Yates)監督は、くらくらするようなエネルギーと自信で映像を練り上げた。しかしポッター現象の大いなる力が、監督の芸術的な貢献をかすませている」

 また、登場人物たちの恋愛については、大人の観客は新鮮と感じるかもしれないが、子どもたちは度々出てくるキスシーンに尻込みするかもしれないと批評した。

 デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)紙は、「ハリポタ」シリーズを、非常に人気だが着古されたコートの再発見と例え、その親しみやすさに快適になりすぎないのは、映画の多大な功績のおかげだと評価した。

 同紙によれば、ロンドン(London)の名所が破壊されるシーンで始まる今作品は、モノクロの映像で物語をダークな方向に導いているという。

 一方で、ハリー役のダニエル・ラドクリフ(Daniel Radcliffe)とロン・ウィーズリー(Ron Weasley)を演じるルパート・グリント(Rupert Grint)は、恋愛にうつつを抜かすようなおもしろさも加えているし、ハーマイオニー・グレンジャー(Hermione Granger)役のエマ・ワトソン(Emma Watson)は自分の好意を気づいてもらえない。

 テレグラフ紙は、「新たな男らしさと繊細さを表現した今までで最高の演技」と19歳になったラドクリフの演技を絶賛した。

 2部作となる最終作の撮影は既に進んでいる。テレグラフ紙は、今作品は「最終作で描かれる最終決戦へ向けての舞台設定に過ぎないとしても、シリーズにとっての優雅な1本となった」と評価している。

 主演の3人に加え、ホラス・スラグホーン(Horace Slughorn)を演じるジム・ブロードベント(Jim Broadbent)やベラトリックス・レストレンジ(Bellatrix Lestrange)役のヘレナ・ボナム・カーター(Helena Bonham Carter)など、出演している英国の俳優陣の評価も高い。

 さらにデーリー・メール(Daily Mail)紙は、フランスのカメラマン、ブリュノ・デルボネル(Bruno Delbonnel)の抜擢は大成功だとした。「映画は素晴らしく、デルボネルはファンタジーの世界に現実世界の繊細さを加えた画を生み出した」(c)AFP