【5月24日 AFP】今年のカンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)で、過激な暴力シーンなどがあることから物議を醸しているラース・フォン・トリアー(Lars Von Trier)監督のゴシックスリラー作『Antichrist(原題)』 が24日、同映画祭審査員団から「anti-prize(最低賞)」を授与されたことで、新たな波紋を呼んでいる。

 同映画祭審査員団は例年、精神的価値を重視した出品作に「エキュメリック(Ecumenical Jury)賞」を与えており、今年はケン・ローチ(Ken Loach)監督の『Looking for Eric』に同賞を贈った。その一方で、『Antichrist』を「世界一の大物映画監督と自称する監督による、女性嫌いの最たる作品」と非難し、「anti-prize」を授与した。

 審査員らは性器を切り取るなどのシーンが登場する『Antichrist』に非常なショックを受けたことから、今回特別にanti-prizeを授与することを決定したという。

「トリアー監督はこの作品で、女性は杭に縛り付けられて火あぶりにされるべきだと主張している。そうすれば男性がついに立ち上がることができるというのだ」。審査員長を務める、ルーマニア出身のラデュ・ミヘイレアニュ(Radu Mihaileanu)監督は、声明でこう述べている。

 一方、映画祭ディレクターのティエリー・フレモー(Thierry Fremaux )は「このようなバカげた決定はほとんど検閲と変わらない」と、激怒している。

 これまで『Antichrist』を見た観客のうち少なくとも4人が気絶し、批評家たちはこの作品を見て恐怖のあまり息を飲み、ヤジや罵声を飛ばしたという。(c)AFP