【12月3日 AFP】日本人女優主演で大ヒットした台湾映画『海角七号(Cape No. 7)』の中国での公開が、延期されることが決定した。これについて台湾のメディアは、作品の親日的なストーリーが原因だと指摘している。

 田中千絵(Chie Tanaka)主演の『海角七号』は、中国語の映画としては台湾史上最高のヒット作。8月の公開以来、4億6000万台湾ドル(約13億円)の興行収入を記録している。来年のアカデミー賞外国語部門の台湾代表作にも選ばれた。

 同作を手掛けたサミュエル・ウェイ(Wei Te-sheng、魏徳聖)監督によれば、同作の著作権は11月に中国に売却され、12月に公開の予定だった。ところが、「技術的な問題」のため公開が延期されるとの連絡を受けたという。

 台湾のメディアは反日感情が背景にあるとみている。台湾当局は、「状況を調査中だが、中国人もこの映画を気に入ると思う」とのコメントを出し、現状を楽観視している。

『海角七号』は、日本植民地時代の台湾で、許されない恋に落ちる日本人女性と台湾人男性を描いたラブストーリー。「この作品は愛、音楽、夢を描いたもので、政治的に解釈されるべきではない」とウェイ監督は訴える。「違う視点から歴史を見てほしい。愛と忍耐が過去の後悔を洗い流してくれるというメッセージを送りたい」

 親日的な映画はこれまでも中国で反感を買っている。2007年のアン・リー(Ang Lee)監督作『ラスト、コーション(Lust, Caution)』に出演した女優タン・ウェイ(Tang Wei)は、日本占領下の上海(Shanghai)で傀儡政府特務機関のリーダーと恋に落ちるスパイを演じ、裏切り者を「美化した」として中国国内で激しい非難を受けた。(c)AFP