【10月30日 AFP】映画「007」シリーズ最新作『007/慰めの報酬(Quantum of Solace)』のワールドプレミアが29日、ロンドン(London)のレスター・スクエア(Leicester Square)で開催された。

 会場にはまず、黒のスーツに身を包み、右腕を包帯でつるした主演のダニエル・クレイグ(Daniel Craig、40)、ジェームズ・ボンド(James Bond)のボス「M」を演じる女優ジュディ・デンチ(Judi Dnech)、今回ボンドガールに抜擢されたオルガ・キュリレンコ(Olga Kurylenko)とジェマ・アータートン(Gemma Arterton)らが登場した。

■前作のラストシーンからスタート

 クレイグがボンドを演じるのは前作『007/カジノロワイヤル(Casino Royale)』に続き2本目。今回は、恋人を失い、失意に暮れたボンドが、謎の男「ミスター・ホワイト」を見つけるという前作のラストシーンからわずか1時間後という設定でストーリーが始まる。

 撮影はパナマ、チリ、イタリア、オーストリア、メキシコで行われた。シリーズでは当たり前になったカーチェイスやアクションシーンなども満載だが、前作に引き続き、今作品でもボンドの心の闇が描かれている。

 タイトルの意味を聞かれると、クレイグは次のように答えた。「基本的には、心に平穏が訪れた瞬間を表現していると思う。自分なりの『慰めの報酬』が見つかれば、人生が分かったということになる」

 このタイトルは、イアン・フレミング(Ian Fleming)の原作、1960年の『007/薔薇と拳銃(For Your Eyes Only)』に収録された短編のタイトルにもなっている。

 さらに今作品には、ボンドお馴染みのラブシーンが少ない。このことについて尋ねられたクレイグは、「ボンドは愛を失ったばかり。それなのに、いきなり10人の女性とベッドインしたらストーリーに矛盾する」と答えた。

■ダニエル・クレイグの演技に高評価

 クレイグが2005年、6代目のボンド役に選ばれたとき、ボンドファンの中には金髪のクレイグでは従来のイメージと違うと、批判的な声も上がっていた。しかし、『カジノロワイヤル』で頑健かつ洗練された演技を見せたクレイグに多くの批評家が称賛を贈った。

 マーク・フォスター(Marc Forster)監督は、「これまでで最高のボンド」と絶賛。ファン雑誌を編集しているグラハム・ライ(Graham Rye)氏は、「クレイグは人を引きつける役者。外見はボンドではないが、ボンドのスピリットを映画に取り戻してくれた」と語っている。
 
■英国の両王子もプレミアに参加

 会場には、英国のウィリアム王子(Prince William)とヘンリー王子(Prince Henry)も姿を見せた。「007」の音楽に合わせてレッドカーペットに登場した両王子は、「戦没者追悼記念日」に向け、退役軍人を支援するチャリティへの募金を呼びかけた。

 そのほか、レッドカーペットには、ボンドガールを演じたこともある女優グレイス・ジョーンズ(Grace Jones)、元プロテニス選手ボリス・ベッカー(Boris Becker)氏、ヴァージン(Virgin)グループのリチャード・ブランソン(Richard Branson)会長、映画のテーマソングをプロデュースしたジャック・ホワイト(Jack White)氏なども登場した。

 今作品は31日、英国およびアイルランドで封切りを迎え、北米およびオーストラリアでは11月に、日本では2009年1月に公開される。(c)AFP

『007/慰めの報酬』の公式ウェブサイト