【10月23日 AFP】銀行強盗、誘拐、殺人などを犯し、「民衆の最大の敵」と呼ばれたフランス人凶悪犯罪者ジャック・メスリーヌ(Jacques Mesrine)の伝記映画『パブリック・エナミー・ナンバー1(Public Enemy Number One)』第1部が22日、フランスで封切りを迎えた。

 2部構成の同作品では、ヴァンサン・カッセル(Vincent Cassel)が主人公のメスリーヌを演じ、ベテラン俳優ジェラール・ドパルデュー(Gerard Depardieu)もギャング役で出演している。監督はジャン・フランソワ・リシェ(Jean-Francois Richet)。

 ストーリーは1979年、パリ(Paris)市内のノミの市でメスリーヌが警官に射殺されるところから始まる。その後、場面は一転し、彼がアルジェリアで若い兵士として従軍していた1959年に。兵役が終わりパリに戻ったメスリーヌはすぐに強盗などの犯罪に手を染めるようになる。服役後は更正しようとするものの失敗、やがて凶悪犯となり、欧州から米国、カナダへと渡る。カナダのケベック(Quebec)州で「最大の民衆の敵」と呼ばれるようになったメスリーヌはフランスに戻り、警察と同業者に追われる中、犯罪者としてその名が知れ渡っていく――。

 このように展開する第1部では、メスリーヌを英雄視しているわけではなく、凶暴な本能を持ち誇大妄想癖がある複雑で影のある冷酷な男として描写している。来月、フランスで公開される第2部では、メスリーヌの最後の6年間を描く。

 フランスでは公開が心待ちにされていた本作が22日に封切られると、国内メディアが熱狂的に報じた。

 左派系リベラシオン(Liberation)紙は、メスリーヌ本人の写真とともに一面に封切りの記事を掲載。「40人の警官の銃弾に倒れた悲惨な死から30年が経った今、メスリーヌはこの作品がきっかけで英雄視されるかもしれない」と論じた。

 ルモンド(Le Monde)紙はメスリーヌを「伝説的人物」と呼び、「この作品は知性を兼ね備えたスタイリッシュな映画。威厳を失っていた時代、他の人が川に身投げするのと同じように犯罪の世界に身を投じた男の苦悩を描いた」と報じている。(c)AFP