【5月24日 AFP】物議を醸したカルト的な作品『バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト(Bad Lieutenant)』などで知られるアベル・フェラーラ(Abel Ferrara)監督の新作ドキュメンタリー『Chelsea on the Rocks』が23日、第61回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)の特別招待作品として上映された。

 同作品は、ボブ・ディラン(Bob Dylan)、アーサー・ミラー(Arthur Miller)、テネシー・ウィリアムズ(Tennessee Williams)、セックス・ピストルズ(Sex Pistol)のボーカル、シド・ヴィシャス(Sid Vicious)らが暮らしたアパート「チェルシー・ホテル(Chelsea Hotel)」を描いた作品で、フェラーラ監督は制作のためにわざわざ同アパートに引っ越したという。

 再現シーンでヴィシャスを演じた俳優ジェイミー・バーク(Jamie Burke)は、チェルシー・ホテルは「死、破壊、愛、壊れた夢の芸術的な嵐」だと表現した。

 再現シーンは、ヴィシャスの恋人だったナンシー・スパンゲン(Nancy Spungen)が同アパートの一室でナイフで刺され死亡していた事件が中心になっている。

 同作品にはそのほかにも、現在と過去の同アパートの住人へのインタビュー映像が盛り込まれている。インタビューが行われたのは、イーサン・ホーク(Ethan Hawke)、デニス・ホッパー(Dennis Hopper)、漫画家ロバート・クラム(Robert Crumb)、映画監督/俳優ミロス・フォアマン(Milos Forman)、そして同ホテルで長年支配人を務めていたスタンリー・バード(Stanley Bard)氏らだ。

 バード氏は、アーチストらにチェルシー・ホテルへの引っ越しを勧め、お金がなく家賃が払えない人がいても追い出さずに長期にわたって住まわせていたことも多かった。

 しかし同氏によれば、現在の新しい支配人は昔からの入居者を追い出し、チェルシー・ホテルを高級マンションへ変えようとしているという。

 フェラーラ監督は、1979年に『The Driller Killer』で監督デビューを果たすと、クリストファー・ウォーケン(Christopher Walken)主演の『キング・オブ・ニューヨーク(King of New York)』、ハーヴェイ・カイテル(Harvey Keitel )主演の『バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト』、マドンナ(Masonna)を出演させた『スネーク・アイズ(Snake Eyes)』など一風変わった作品を次々と世に送り出している。(c)AFP


カンヌ国際映画祭の公式ウェブサイト(英語)