【4月24日 AFP】今年の第61回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)では、クリント・イーストウッド(Clint Eastwood)、スティーヴン・ソダーバーグ(Steven Soderbergh)、ヴィム・ヴェンダース(Wim Wenders)といったベテラン監督たちが、新人監督やほとんど無名の監督たちとともに最高賞のパルム・ドール(Palme d'Or)を競い合う。

 5月14日から25日まで開かれるカンヌ国際映画祭の開幕準備が進む中、23日にコンペティション部門出品作19本が発表された。ベテランと新人の作品が混在しているが、これこそ映画祭成功の秘訣の秘訣のようだ。

 発表会見に出席した実行委員会のジル・ヤコブ(Gilles Jacob)会長は、「映画祭が61年目という新たな10年の区切りを迎えたことから、選出する出品作の傾向を一新しようと考えた。今年は新境地を切り開く、あっと驚くような作品が出品される」と語っている。

■今年のコンペ部門ではベテランと新人の監督の混戦に

 近く発表されるフランス作品1本を含め、計20本がコンペティション部門に出品される。

 その中の1本、イーストウッド監督の『Changeling』は、1920年代を舞台に息子を誘拐された母親をアンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)が演じるサスペンスだ。

「オーシャンズ」シリーズで有名なソダーバーグ監督は、エルネスト・チェ・ゲバラ(Ernesto Che Guevara)の人生と彼が生きた時代を描いた『Che』を出品する。2部作で上映時間は4時間。同作で主演を務めるベニチオ・デル・トロ(Benicio Del Toro)は、ソダーバーグ監督の2000年のヒット作『トラフィック(Traffic)』にも出演している。

 ドイツのヴィム・ヴェンダース(Wim Wenders)監督は、ロードムービー『Palermo Shooting』を出品。イタリアからは、マッテオ・ガローネ(Matteo Garrone)監督がイタリアのマフィアを描いた作品、パオロ・ソレンティーノ(Paolo Sorrentino)がジュリオ・アンドレオッティ(Giulio Andreotti)元首相をテーマにした作品が出品される。

■コンペ外部門にも大物監督らの注目作

 コンペティション部門出品作と同様に注目を集めているのが、ウッディ・アレン(Woody Allen)やスティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)ら大物監督の作品だ。コンペ外部門に出品され、カンヌでワールドプレミアを迎える。

 スピルバーグ監督は、今年最も公開が待たれる作品『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国(Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull)』を出品。1981年の第1作『インディ・ジョーンズ/レイダース 失われたアーク《聖櫃》(Indiana Jones and the Raiders of the Lost Ark)』でスタートしたシリーズ第4弾で、ハリソン・フォード(Harrison Ford)が冒険好きな考古学者を演じる。

 カンヌ映画祭ではお馴染みのアレン監督は、スペインを舞台にした『Vicky Cristina Barcelona』を出品する。アレン監督はじめ、出演者のペネロペ・クルス(Penelope Cruz)、スカーレット・ヨハンソン(Scarlett Johansson)、ハビエル・バルデム(Javier Bardem)はレッドカーペットにも登場する予定だ。

 コンペ外部門に出品されるそのほかの作品は、アニメ『カンフー・パンダ(Kung Fu Panda)』と、韓国のキム・ジウン(Kim Ji Woon)監督による-『The Good, The Bad, The Weird』。『カンフー・パンダ』は、ドリームワークス(Dreamworks)が手掛けたアドベンチャー・コメディで、ジャック・ブラック(Jacl Black)、ルーシー・リュー(Lucy Liu)、ダスティン・ホフマン(Dustin Hoffman)、アンジェリーナ・ジョリーが声優を務めている。

 さらに、エミール・クストリッツァ(Emir Kusturica)監督がディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)を描いた作品、ジェームズ・トバック(James Toback)監督がマイク・タイソン(Mike Tyson)を描いた作品、Marina Zenovich監督が『Roman Polanski: Wanted and Desired』を出品する。

 審査委員長を務めるのは、昔は「悪がき」のイメージが強かった俳優のショーン・ペン(Sean Penn)。2007年には『荒野へ(Into The Wild)』で監督にも挑戦し、批評家から絶賛された。審査委員長に決定したことを受けて、ペンは「カンヌ国際映画祭は、映画制作者たちの新しい傾向が見つかる場所だ。参加できるのをとても楽しみにしている」と語った。(c)AFP/Claire Rosemberg

カンヌ国際映画祭の公式ウェブサイト(英語)