【12月21日 AFP】第14回映画俳優協会賞(14th Annual Screen Actors Guild Awards)のノミネーションが20日、ロサンゼルス(Los Angeles)のパシフィック・デザイン・センター(Pacific Design Center)で発表された。『Into The Wild』が、映画部門のノミネートをほぼ独占したが、オスカー候補とも目される『つぐない(Atonement)』やジョニー・デップ(Johnny Depp)の名前は見られなかった。

■最多部門にノミネートされた『Into The Wild』

 最多4部門にノミネートされたのは、アラスカへ自分探しの旅に出て悲劇的な結末を迎えた実在した青年のストーリー、『Into The Wild』。エミール・ハーシュ(Emile Hirsch)が主演男優賞に、ハル・ホルブルック(Hal Holbrook)が助演男優賞に、キャサリン・キーナー(Catherine Keener)が助演女優賞に、そして作品としてアンサンブル演技賞にそれぞれノミネートされている。アンサンブル演技賞にノミネートされたそのほかの作品は、『ノーカントリー(No Country for Old Men)』、『ヘアスプレー(Hairspray)』、『アメリカン・ギャングスター(American Gangster)』、『3:10 to Yuma』の4作品だ。

■オスカーの前哨戦としての映画俳優協会賞

 今回の映画俳優協会賞授賞式は、アカデミー賞授賞式の約1か月前の1月27日にロサンゼルスで行われる。映画俳優協会会員は、アカデミー賞を決定する映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences)の会員の多数を占めるため、映画俳優協会賞の結果はアカデミー賞の行方を大きく左右すると言われる。映画業界の専門家は、映画俳優協会賞のノミネートリストには、オスカーを争いそうな名前が並ぶという。

 「オスカーの行方を知るには、批評家が選ぶ賞ではなく、映画俳優協会賞のノミネートリストを見たほうがいい」と語るのは、ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)紙の映画評論家ピート・ハモンド(Pete Hammond)氏。第二次世界大戦中の英国を舞台にした『つぐない』やジョニー・デップ主演の『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師(Sweeney Todd: The Demon Barber of Fleet Street)』がノミネートから漏れたことに言及し、「今日の発表は、我々が想像した以上にオスカー候補が絞られていないことを示している。このリストでは、そこから漏れた名前のほうが目立っている。今年はオスカーの有力候補などないと言えるだろう。とくに『つぐない』でも『スウィーニー・トッド』でもないことは確かだ」

■主演・助演ともにノミネートされたケイト・ブランシェット

 そのほか、今回のノミネーションで目立ったのは、2部門に名を連ねたケイト・ブランシェット(Cate Blanchett)だろう。『エリザベス:ゴールデン・エイジ(Elizabeth: The Golden Age)』で主演女優賞、ボブ・ディラン(Bob Dylan)を演じた『アイム・ノット・ゼア(I'm Not There)』で助演女優賞にそれぞれノミネートされている。

■主演女優賞

 ブランシェットと主演女優賞を争うのは、『エディット・ピアフ~愛の讃歌~(La Vie En Rose)』でエディット・ピアフ(Edith Piaf)を演じたマリオン・コティヤール(Marion Cotillard)、『マイティ・ハート/愛と絆(A Mighty Heart)』でジャーナリストの夫ダニエル・パール(Daniel Pearl)氏を殺害されてしまう妻を演じたアンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)、『アウェイ・フロム・ハー(Away From Her)』のジュリー・クリスティ(Julie Christie)、『ジュノー(Juno)』のエレン・ペイジ(Ellen Page)の4人。

■主演男優賞

 エミール・ハーシュのほかに主演男優賞にノミネートされたのは、『マイケル・クレイトン(Michael Clayton)』のジョージ・クルーニー(George Clooney)、『There Will Be Blood』のダニエル・デイ・ルイス(Daniel Day-Lewis)、『ラース・アンド・ザ・リアル・ガール(Lars and the Real Girl)』のライアン・ゴズリング(Ryan Gosling)、『Eastern Promises』のヴィゴ・モーテンセン(Viggo Mortensen)。(c)AFP