【10月26日 AFP】米映画監督マイケル・マン(Michael Mann)氏が、毒殺されたロシア連邦保安局(FSB)の元幹部アレクサンドル・リトビネンコ(Alexander Litvinenko)氏殺害事件を描いた映画を制作する。25日、リトビネンコ氏の死の真相を追究する財団「Litvinenko Justice Foundation」が明らかにした。

 同財団によれば、本作はリトビネンコ氏の妻マリナ(Marina Litvinenko)さんの著書「Death Of A Dissident」に基づくもの。制作会社はコロンビア・ピクチャーズ(Columbia Pictures)になるという。

 ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領を批判していたリトビネンコ氏は2006年11月、放射性物質により、ロンドン市内の病院で死去。リトビネンコ氏は入院時、プーチン大統領が関与しているとして批判していたが、ロシア政府は関与を否定している。英国検察当局は、リトビネンコ氏に対する殺人罪で、元KGB職員のアンドレイ・ルゴボイ(Andrei Lugovoi)氏の起訴を考えているが、ロシアは身柄引き渡しを拒否した。

 この制作発表は、「Death Of A Dissident」のポルトガル語翻訳版の出版に合わせて行われた。マリナさんは25日、翌日開催されるロシア・EU首脳会議でこの問題を取り上げるようEUに訴えるため、リスボン(Lisbon)に滞在していた。

「Litvinenko Justice Foundation」は、英露両政府に対し、容疑者を裁判にかけるよう要求し続けている。同財団には、英国亡命中のロシア人実業家ボリス・ベレゾフスキー(Boris Berezovsky)氏も参加し、50万ポンド(約1億1700万円)を寄付している。

 マン監督はこれまで、『コラテラル(Collateral)』や『ヒート(Heat)』などを手掛けている。

 一部報道では、俳優ジョニー・デップ(Johnny Depp)さんもリトビネンコ氏の生涯を描いた別の作品に取りかかっているという。(c)AFP