【8月4日 AFP】香港のアクション・スター、ジャッキー・チェンは53歳になった現在でも自身でスタントをこなす。「引退する気など全然ない」とロサンゼルスに滞在中のチェンが今週、AFPの記者に語った。

 最新出演作『ラッシュアワー3(Rush Hour 3)』は全米で次週、母国香港では16日に公開される。最新作では落下時に備えた安全ネットのようなものは一切なしでエッフェル塔(Eiffle Tower)に登るチェンを見ることができる。「スタントは全て自分でやったよ。エッフェル塔の天辺で全力でアクロバティックに戦うシーンもね。その一連のシーンは爆発やガンアクションではなくて、世界でもトップレベルのスタント・チームが最大限に持てる力を発揮した賜物だよ」と語る1970年代初めから香港アクション映画界をリードし続けているスタントマン出身のチェンは「誰もが忘れることのできない経験になったよ、とりわけ私にはね」とつけ加えた。

 「僕は孫に『これは僕、おじいちゃんだよ。風速約160キロメートルのエッフェル塔の周りを飛んでいるのはスタントマンではないんだよ』と胸を張って言うことができるよ」

 チェンは1998年に人気映画『ラッシュアワー(Rush Hour)』シリーズ一作目に出演し、彼の国際的なキャリアは遅いスタートを切った。

 『ラッシュアワー』のヒットがきっかけとなり、以来チェンは巨額の制作費を投じたハリウッド映画の道を進むようになったが、ハリウッド進出以前からカンフー映画ファンの間では有名な存在だった。多くのファンは、チェンが伝説のカンフー・スター、ブルース・リー(Bruce Lee)の後継者と考るところもある。

 チェンが米コメディアンのクリス・タッカーの相手役を演じるシリーズ三部作のうち、『ラッシュアワー』『ラッシュアワー 2』では、全世界で興行収入6億ドル(約708億円)を記録した。ブレット・ラトナー(Brett Ratner)監督による『ラッシュ・アワー 3』は1億4000万ドル(約165億円)の制作費が投じられた。チェンとタッカーはパリで活動する中国の地下犯罪組織を追跡する。有名映画監督ロマン・ポランスキー(Roman Polanski)が意地悪な警官役で、身長236センチメートルの中国人バスケットボール選手、スン・ミンミン(Sun Ming Ming)が犯罪組織員役で登場する。

 体重135キログラム以上あるバスケットボール・スターのスンとは、カンフー俳優のような身のこなしを教えるために2週間のトレーニングを共にしたようだ。「彼なら誰でもすぐにノックダウンすることができるよ。でも彼は賢い男だ。20歳そこそこでサイズは私の2倍だ。そのシーンはすばらしいものになったよ。」と振り返る。


 チェンにとっての今回最大のチャレンジはタッカーとラトナー監督の英語のアクセントを理解することだったと話した。スタントについては少しも問題にならなかったようだ。「よく自分の歳を忘れてしまうんだ。動き続けるのみだよ。自分の体が私に止めろと言うまでやり続けるつもりで、引退は全然考えてないよ」とチェンは語気を強めた。

 自身で監督業もこなすチェンの活発さはまったく衰える様子がない。「今はとても忙しくて、たくさんのプロジェクトを抱えてるよ。その一つが我々が今中国で撮影中のジェット・リー(Jet Li)との共演作『The Forbidden Kingdom』なんだ」と語るチェン。(同映画は2008年公開予定)

 『The Forbidden Kingdom』はチェンとリー、2人のスーパースターが一緒にスクリーンに登場する初の映画となる。(c)AFP/Paula Bustamante