2007年6月22日、アニメ映画『レミーのおいしいレストラン(Ratatouille)』のワールドプレミアに登場した、声優を務めた俳優のブラッド・ギャレット(Brad Garrett、後)、映画に登場するレミー(Remy、左)とエミール(Emile)。(c)AFP/Getty Images Kevin Winter
【6月29日 AFP】日本で間もなく公開を迎える『レミーのおいしいレストラン(Ratatouille)』。パリ一番のシェフになることを夢見るネズミ「レミー」を描いたこの物語を作る上で、もう1人の主役と呼べるほど重要な役割を演じたのは、実際にパリの名店と呼ばれるレストランだった。
■取材を受けたパリの名店
ピクサー(Pixar)のスタッフは、パリのレストランでテーブルにつき、何時間も厨房の様子を眺めた。そして、「トゥールダルジャン(La Tour d’Argent)」、「タイユヴァン(Taillevent)」、「ギー・サヴォア(Guy Savoy)」などの名店が映画の参考になったという。
サヴォアは、AFPの電話インタビューに次のように答えた。
「当初、キッチンにネズミがいるという設定には戸惑いました。しかし、彼の家族にゴミ箱をあさってはいけないとか、衛生は大事だと言うのは、そのネズミだったんですよね。それを知ったら…」
こうしてサヴォイは、ピクサーの取材に応じることとなった。
「彼らはキッチンのペースを知りたがっていました。そしてそれこそが、映画の魅力の1つになったんです。つまり、リズムですね」
「トゥールダルジャン」のオーナー、アンドレ・テレイル(Andre Terrail)氏は、映画制作者たちは、キッチンに注文が入る瞬間のことを知りたがっていたと語った。
「注文が入り出すその瞬間に、本当に興味を持っているようでした」
■映画に生かされた本物のレストラン
料理の信ぴょう性を求める熱意は、『レミーのおいしいレストラン』の監督やプロデューサーにとっては、ありがたいものだった。劇中に出てくるレストラン「グストー」のアイデアには、こういった実際のレストランの取材が生かされたという。
テレイル氏によれば、「トゥールダルジャン」のチーズ皿が映画の中に登場し、ガール・ドゥ・リヨン(Gare de Lyon)にあるレストラン「ル・トラン・ブルー(Le Train Bleu)」の豪華な調度品が「グストー」の装飾品のヒントになっているという。
レミーのキッチンには、プロ顔負けの料理人たちが登場する。料理長、副料理長、部門シェフ、ソース係などだ。そしてコレット(Colette)と呼ばれるスタッフが仲間に檄を飛ばす。「自分の持ち場をきれいに! 袖をきれいに!」
■レミーのスープを再現
また、元シェフのMichael Warch氏の協力のもと、映画独自の料理も作られた。
「常に準備はできていました。電話がかかってきて、レミーが作ったスープを再現してほしいと言われれば、私はその通りに作るだけです」Warch氏はこう語った。
■実際のレストランのキッチンで特訓も
パリのレストランだけでなく、カリフォルニア(California)州ナパバレー(Napa Valley)にあるトーマス・ケラー(Thomas Keller)氏のレストラン「フレンチランドリー(French Laundry)」も、制作スタッフは取材していた。
プロデューサーのブラッド・ルイス(Brad Lewis)は、「フレンチランドリー」のキッチンで2日間の集中特訓も受けていたという。
「一番おもしろかったのは、映画のメインでもあるラタトゥイユを作ったことでした。映画の中で、再現されていると思います」ケラー氏はこのように語った。
さらにケラー氏は、映画の中で客の役として声の出演も果たしている。
■理想を描いた映画
この映画のテーマの1つに、レストラン業界の激しい競争がある。高級レストランのガイドブック「ミシュラン・ガイド(Michelin Guide)」でどれだけの星を獲得できるか、良い評価を得られるか、と案じることもレストランの仕事なのだ。
ケラー氏によれば、この映画は、「批評家のコメントを気にせず、何かのためにリスクを冒し、いちかばちかの賭けにでる、そんな人物」を描いた作品だという。
「ネズミを描いた映画ではありません。理想を描いているのです」(c)AFP/Catherine Hours






