【11日AFPBB News】ヌーベルバーグの監督たちから愛されたフランスの文豪バルザックの短編小説『ざくろ屋敷』が、東京・渋谷区アップリンクXで7月7日から20日まで劇場公開される。70枚近いオリジナル絵画で構成したこの作品は、06年8月に幻冬舎×東映アニメーションからDVDが全国発売され、その完成度を賞賛されていた。

 監督(脚本)は新鋭の深田晃司、作品の軸となる絵画・美術を画家の深澤研が担当した。2人は中学時代からの友人で、深田の強いこだわりに対して、深澤が柔らかいタッチとリアリズムあふれる絵画でこたえる絶妙なコンビネーション。2人は現存する「ざくろ屋敷」をフランスまで取材に行き、多くの歴史的資料を参考にしてバルザックの愛した館を正確に再現している。

■深田監督、画家・深澤氏に聴く

Q 劇場公開のきっかけは?
深田「作っている段階から劇場公開を目標にしていたので、やっと実現して嬉しい」

Q なぜ、「ざくろ屋敷」を題材に選んだのか?
深田「物語の骨格がしっかりしているので(深澤の)絵に合うと思った。わかりやすいけど、謎が多いので見る人の想像力がバランス良く刺激できると思った」

Q 撮影で最も気をつけたことは?
深澤「絵画が作品で、1枚1枚の絵画で物語を語っているので時間の経過などカメラワークを意識した」

Q 現存の「ざくろ屋敷」はどんな印象だったのか。
深田「小説とは違い、裏切られた感じ。詩的な感じではなく草がぼうぼうと生えていて荒れていた。同行した通訳が嫌がるくらい酷かった」
深澤「(小説とは違うから)自分の想像力を発揮できたので気にならなかった」

Q ここを見て欲しい
深田「最後の婦人が死ぬ場面。一番やりたかった。当初、映画のタイトルを『死に行く部屋』にしようとしたくらい。満足度の高い場面」

Q 作品に登場する絵画の枚数と制作期間、注目して欲しい絵画について
深澤「約70枚を1年くらい掛けて書いた。全部注目して欲しい絵画だけど、ブランドン夫人が亡くなる一連の場面を特に見て欲しい」

Q 来場される観客に向けて
深田「とにかく映画好きの方にたくさん見て欲しい」
深澤「1枚1枚の絵画にこだわりがあるのでじっくり見て欲しい」

深田監督はフランス人のエリック・ロメール監督に影響されて、映画監督になりたいと思ったという。

『ざくろ屋敷』は東京・渋谷アップリンクXで7月7日(土)~20日(金)まで。21時開始のレイトロードショーにて公開。(c)AFPBB News

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  • 『ざくろ屋敷』公式HP
  • アップリンクX公式HP