第60回カンヌ国際映画祭の会場の様子。2007年5月21日撮影。(c)AFP/FRED DUFOUR
【5月22日 AFP】会場に姿を現す数々のセレブ、夜ごとのパーティーなど“非現実的”な側面の強いカンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)は、インターネット上で“バーチャルな存在感”を築き上げている。特に今年は、数え切れないブログ、何万件もの映画と製作会社にリンクしたウェブサイト、映画祭に参加した人たちのEメールの洪水がネット業界を映画祭並に盛り上げている。
自らが制作に関わった、環境問題を扱ったドキュメンタリー作品『The 11th Hour』を映画祭で上映したレオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)は、こういった動きを支持する1人だ。映画についての資料を、ほかの監督たちがやっているように紙ではなく“環境に優しい”ウェブサイトで公開した。
コンペ部門ノミネート作品『ペルセポリス(Persepolis』のマルジャン・サトラピ(Marjane Satrapi)監督は、大手SNSサイト「マイスペース(MySpace)」に作品を掲載し、注目を集めている。ウェブ上には、「フランス国内のどこからでも『ペルセポリス』のプレビューをお楽しみいただけます。でも、シーッ!カンヌ映画祭はまだ終わってません。だからこのこととはごく一部の人だけが楽しむことができるもの。あなたもその1人なんです!」とのメッセージがフランス語で書き添えられている。
「マイスペース」は“メディア王”の異名を持つルパート・マードック(Rupert Murdoch)傘下のニューズ・コーポレーション(News Corp.)が運営しており、彼が所有する映画スタジオとも提携を結んでいる。そのため、「マイスペース」の会員をカンヌに招待するなどの試みもある。
映画祭主催者側も公式サイトを設け、毎日カンヌに到着するセレブのリストを上げるなど映画祭をより身近に感じられるようにしている。
映画祭のあちこちにはブロガーが存在する。シャンパンを豪華にあおる1万5000人の関係者たちとは違い、現地にいるブロガーたちの多くは会社からの経費でカンヌを訪れているのではない。「ニースからバスに乗り、ホテルからクロワセットまで長時間歩くと、自分がお金のない中で仕事をしていることを実感する。しかし、カンヌの素晴らしい点は、参加することでお金では変えない価値を得ることが出来るということだ」と英国人プロデューサー、Christopher Young氏は自身のブログに書いている。
一方あるフランス人のブロガー集団は超高級ホテルが所有するビーチのレストランに集い、1人頭150ユーロ(約2万4000円)の大盤振る舞いをした。「わたしたちはブロガーであるという共通点を持っている。お互いを知るためにここに来た」とOlivier Martinさん。もちろん一番の話題は映画だが、「ブロガーのパーティーなので、インターネットについてもよく話している」
その中にいた監督/女優のEsperence Pham Thai Lanさんは、ブロガーたちに自作の短編映画『Poker Hand』について語り、パスワードでセキュリティ保護された自身のウェブサイトを宣伝した。「私も皆と同じように最近ブログの世界を発見した。ブロガーたちと、映画の世界そのもののカンヌ映画祭にいられることは、とても特別なこと」とThai Lanさん。
カンヌ映画祭に行くことができない映画ファンには、インターネットが問題解決法を提供してくれる。映画祭主催者側はバーチャルワールド「Second Life」で、アバターを使って映画祭の様子を“体現”できるサービスを行っているのだ。(c)AFP