【東京 25日 AFP】衛星放送テレビ局「日本文化チャンネル桜」は24日に会見を行ない、南京大虐殺をテーマにした映画製作を進めると発表した。同事件から今年で70周年を迎え、中国や米国から発信される同テーマの映画に対抗する立場をとることになりそうだ。

 1937年12月、日本軍が南京を占領する際に起こったといわれるこの大虐殺が、今も心の奥深くに残る傷として忘れられない中国の人々が、今回の製作発表に反感を持つことは確かだろう。

 「南京の真実(仮題)」と題された本作でメガホンをとるのは、同テレビ局の水島総氏。
「我々が何もしなければ、反日プロパガンダが世界中に拡大するでしょう。重要なのは、この事件に関する歴史認識を是正し、正確なメッセージを伝えることです」
 国会議員を含む数十人の支援者が集まった記者会見で同氏は語った。

 今回の映画製作の資金を募るため、保守派の学者や政治家で構成された委員会を立ち上げたことも発表した。2007年末までに同作品は完成の予定。

■南京大虐殺を扱った映画は今年だけで7本

 「今年だけで7本もの南京大虐殺を扱った映画が計画されている」水島氏は加えた。

 29日まで開催中の2007年サンダンス映画祭(2007 Sundance Film Festival)では「南京( Nanking )」と題した米国製作のドキュメンタリー映画が公開されている。同作は生存者の映像やインタビュー記事をもとに描かれており、ウディ・ハレルソンを含む俳優陣が出演している。

 国営新華社(Xinhua)はまた、中国系米国人作家アイリス・チャン(Iris Chang)氏の著書「The Rape of Nanking」を原作とする映画製作の計画があることを発表。同記事で、この映画がスティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)の「シンドラーのリスト(Schindler’s List)」(1993)になぞらえられ、中国版シンドラーのリストと評されていると紹介している。

 この事件に関するフィクションは日中関係を緊張させる要因でもある。2005年には、日本の歴史教科書で同事件に対する記述がわずかだったことに対する抗議運動に端を発し、中国各地で反日運動が展開された。
 写真は、24日、制作発表の記者会見に臨む水島総氏。(c)AFP/Toru YAMANAKA