【3月6日 MODE PRESS】世界を巡るシャネル(CHANEL)のアート・プロジェクト「モバイルアート(MOBILE ART)」が、5月31日から7月4日まで、東京・国立代々木競技場 オリンピックプラザで行われる。会場となるパビリオンが世界を巡回するというユニークなこの国際巡回展は、2月27日にスタートした香港を皮切りに、東京、ニューヨーク、ロンドン、モスクワ、パリで行われる予定だ。

■ザハ・ハディドが移動式パビリオンを設計

 移動式パビリオンを手掛けたのはイラク出身の建築家ザハ・ハディド(Zaha Hadid)。アーチ型のパーツをつなげた有機的なフォルムのパビリオンは、約300のパーツに分けられ都市間を輸送される。キューレーターを務める仏ボザール誌のファブリス・ブストー編集長は「ハディドが構想したのは、移動する美術館ではなく、アーティストたちの作品が“居住している”空間でありながら移動可能なカプセルの役目も果たすスペース。例えば、飛行中のUFOがアジアや米国、欧州の大都市に着陸して数週間滞在しているようなイメージの空間」と語る。

■荒木経惟ら20組のアーティストが参加

 パビリオン内には、20組の国際的アーティストが“キルティングバッグ”からインスピレーションを得た作品を展示。日本からは荒木経惟、束芋ら4人が参加する。全てのアーティストは150もの工程を経てバッグが製造される様子や、ココ・シャネルのアパルトマンを見学。そこから得たインスピレーションを元に作品作りに取り組んだ。「香水などと比べ、これまでバッグに関してはそれほど大きなことをやってこなかった。今回はそこを切り口にシャネルのビジョンをみせたい」とシャネル株式会社のリシャール・コラス(Richard Collasse)社長。

■特製サウンドトラックで空間&作品を「体感」

 来場者は携帯式のMP3プレーヤーで、「モバイルアート」のために特別に制作されたサウンドトラックを聞きながら空間と作品を体験する。「自分自身が3D映画の中に身を置いているような気分を体験してほしい。今回のプロジェクトは皆さんへのプレゼントです」とブストー編集長は語る。

■シャネルと現代アートの関係

 シャネル・フランスのブルーノ・パブロフスキー(Bruno Pavlovsky)ファッション プレジデントは「ファッションと現代アートにおけるクリエーションを対峙させるプロジェクトはマドモアゼル シャネル自身が始めたもの。彼女は熱心にピカソやジャン・コクトー、ディアギレフらを支援していた。その深い関わりを継承するなかでうまれた本イベントを通じてシャネルのクリエイティヴィティとアヴァンギャルドへの強いこだわりを再確認してほしい」とコメントしている。

 既存のエキシビションの枠を越え、壮大なスケールで世界を移動するシャネルの「モバイルアート」。是非会場に足を運び、アート表現が持つ無限の可能性を全身で感じてみたい。(c)MODE PRESS