【11月9日 上間常正】新感覚の商業施設「ジャイル(GYRE)」が2日、東京・表参道にグランドオープンした。シャネル、ブルガリとマルタン・マルジェラの組み合わせ、また米国外で初のMoMA(ニューヨーク近代美術館)のデザインショップ、ユニークなレストランやカフェ、ギャラリーなどその充実した内容で、このビルは表参道の新たなランドマークと話題を呼んでいる。オープン当日には、開店の午前11時前には数百人の行列ができた。

 建物は表参道のほぼ真ん中、表参道ヒルズの向かいでキャットストリートとの角に位置している。人通りも最も多い場所だが、これまでランドマークとしての印象は必ずしも強くなかった。今回のジャイルでは客足が増えそうな各分野のショップがそろい、相乗効果での賑わいが期待されている。

 第一に、リニューアルオープンとなったシャネルブティックを含め、ショップがどこも外に向かった開放的な構えになった。4、5階のレストランと地下の食品売り場は、ブティックだけのファッションビルと比べると格段の客足が見込まれる。

 5階の全フロアを占める「表参道うかい亭」は、金沢から移築した150年前の商家を生かした和洋折衷の独特に作り込んだインテリアが特徴。夜景なども素晴らしく、このエリアでは珍しい本格的なレストランとして話題を呼びそうだ。すでに年末まで予約がほぼ埋まっているという。地下1階の広々とした食料品売り場も、表参道では貴重な存在になりそうだ。

 各階を多層式に積み上げたような設計のため、外部階段やテラスが多いことも、建物全体の開放的な雰囲気に役立っている。ジャイルが今後客足をさらに伸ばせば、表参道の人の流れはこれまでとはだいぶ異なる形になるに違いない。(c)MODE PRESS