「coats! MaxMara, 55 Years of Italian Fashion」の広告キャンペーン。リチャード・アヴェドン撮影による、1998-1999年秋冬 キャンペーンビジュアルを起用。Copyright(c)1999 The Richard Avedon Foundation
【東京 19日 上間常正】マックスマーラの55年の歩みをコートをキーワードにしてたどる回顧展「coats! MaxMara, 55 Years of Italian Fashion」が、東京・六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで18日から始まった。歴史的なコートの展示を中心に、デザイナーやアーティストが参加したクリエーションの様子や世界のトップフォトグラファーらが撮影した歴代のキャンペーン写真、またコートを触るとその部分の製造工程をビデオで示すなど、展示は多角的で見所が多い。マックスマーラのコートの歴史は、過去半世紀のファッション全体の流れと今後の課題を鋭く示しているようにも見える。
■機能性、仕立て、素材
コートには、ひらひらの装飾も色とりどりのプリント柄や刺繍も似合わない。必要なのは雨風から身を守る機能性と、バランスのよい美しいシルエットを支える高度な仕立てと素材の品質だ。今回の展示ではマックスマーラの代名詞の一つでもあるコートに焦点を絞ったことで、プレタポルテのファッション本来の底流を考えさせる内容になった。
■数々の貴重な資料
構成は、テーマや時代ごとに主に5つに分かれている。最初の紹介コーナー「コートの歴史」では、ベルリン美術館やマックスマーラ社所有の19世紀から大戦後までの歴史的なコートやエッチングの図版を展示。続く「創成期」では、1950年代の同社設立期の写真や当時のコマーシャル映像、また創設者アキーレの母親が設立した洋裁学校の写真など。
2つ目の「ファッションと活字メディア」では壁一面に本棚が設置され、70年代のファッション雑誌やカール・ラガーフェルドら当時デザインに携わったデザイナーのデザイン画など貴重な資料が並ぶ。
■コートを通じて見る「芸術」
3番目の「独創性」では、マックスマーラの象徴的アイテムである最も売れたコート「101801」と、その各パーツを題材としたポップアート作品などを展示。同社が異業種のアーティストらと共に発揮してきたクリエーションへの挑戦の実例を紹介している。
4つ目の「広告イメージ」は、貴重で魅力的な「写真展」となっている。サラ・ムーンやピーター・リンドバーグ、スティーブン・マイゼル、リチャード・アヴェドンといった豪華な顔ぶれのフォトグラファーが、時代を切り拓いたともいえる当時のマックスマーラの広告写真を撮影していた。これだけでも一見の価値が十分にある。
■インタラクティブな試みも
最後のゾーン「生産」も、ファッション展としては異例の試みだ。展示されたコートの襟や袖、ポケットなどのパーツに触れると、その部分の工場での製造シーンがビデオで上映される。実物を触れたり、その製造工程をたどったりできる展示はほとんどなかった。マックスマーラというブランドが工場のシステムもクリエーションの欠かせない部分として重視してきたことを、この最後の展示が物語っている。
■理念と実践の歴史
工場システムに限らず、デザインから広告戦略まで、服が消費者に届くまでのすべての過程を、マックスマーラは一貫した全体の共同作業の結果として考えてきた。ファッション界では実は異例ともいえるこのブランドのそうした理念と実践の歴史が、この回顧展から明確に浮かんでくる。
だから、この展覧会はファッション展としてだけではなく、デザインやアート、写真、工業展としても楽しめる水準に達しているのだろう。(c)MODE PRESS
★森アーツセンタギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階
電話:03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10時~20時。毎週金曜日は22時閉館(入館は閉館の30分前まで)
料金:一般 1000円、学生(高校・大学生) 800円、子供(4歳~中学生) 500円


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