【パリ 2日 上間常正】08年春夏パリ・コレクションは3日目の1日、クリスチャン・ディオールやアンダーカバー、マルタン マルジェラなどが新作を発表した。

■クリスチャン・ディオール(Christian Dior

 ビッグブランドのトップを切って登場したクリスチャン・ディオールは、今回はクラシックな形を都会的な感覚で洗練させたエレガントな服を並べた。デザイナーのジョン・ガリアーノらしいクリエーションの冒険はちょっとお休みという感じだが、その代わり服はとてもロマンチックでしかも着やすそうに見えた。

 ショーの最初に登場したのは、グレーで縦縞のエレガントなパンツスーツ。英国調のテーラードが今回のメインで、30年代とも50年代風ともいえそうな細身のスーツやロングドレスなどが続いた。ややハイネックのジャケットや白いサテンのラップドレスにはそのころの東洋趣味のテーストを反映しているようだった。

 特に、ラインが見事にきれいなヒップハンガーのパンツと膝下丈の細いスカートに今回の服の高い洗練度がうかがわれた。
  • クリスチャン・ディオール<写真>
  • クリスチャン・ディオール<動画>

    ■アンダーカバー(UNDER COVER

     アンダーカバーの新作は、これまで何シーズンか続いたエレガンスと素材の追求に、このブランド本来の反抗的なひねりを加えたものになった。今回のモチーフは「リゾート」ということだが、会場の入り口で渡されたレイの花の色がダークブラックだった。

     ショーの最初に登場したのはビキニの水着の一団。しかし会場には不気味なドラムの連打と雷鳴が響いた。その中を、水着の一団はまるで軍隊の行進のように速足で通り抜けた。リゾートウエアに見えるグレーのニットの上下には、クモの模様が描かれ、装飾にはどくろもさりげなく登場した。

     これだけひねりを盛り込むと、ともすれば意気がったパンクになってしまうのだが、服そのものはそれでもエレガントである種の成熟を感じさせた。成熟しながらも枯れない反抗精神がこんな「ダークリゾート」とでも呼べそうな新しい服を生み出すのだろう。

    ■メゾン マルタン マルジェラ(Maison Martin Margiela

     マルタン マルジェラは、服のテーマを毎シーズン変えるのではなく、課題を少しづつ進化させる方法をとっている。過去3シーズンはフェミニンなシルエットを建築的なアプローチで追求してきたが、今回はそれが一つの完成段階に達したように見えた。

     その結果として明らかになったのは、服がより普通にきれいで楽しげになったことだ。これは決して皮肉な回り道というわけではない。今回の新作はより体に沿った、それでいてシンプルで美しいシルエットを作り出した。外見の印象を変えるのは、やはり中身の進化でしかないのだ。
  • メゾン マルタン マルジェラ<写真>
  • メゾン マルタン マルジェラ<動画>
    (c)MODE PRESS

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