【東京 20日 MODE PRESS】東京・代官山のセレクトショップ「エース(A)」が7月29日で閉店する。エースの前身「ジプシー」と「バサラ」、さらに原宿にあった「エース」の時代から、多くの人に刺激と影響を与えてきたショップだった。
■とにかくぶっ飛んだ店
磯部博さんが原宿セントラルアパートで「ジプシーアイ」を開いたのは1968年。80年代後半に竹下通り「エース」、96年には代官山「ジプシー」と、移転に伴って店名も変えた。
スタイリストの伏見京子さんは竹下通りのエースについて「パリに住んでいたので大抵のデザイナーは知ってると思っていたけど、エースには知らないブランドがあった。小さいながらも密度の濃い、方向性のはっきりしたお店だった」と振り返る。
93年頃、リメイクで注目されたズリー・ベット(Xuly Bet)の服を求めてエースに行ったのは、スタイリストの吉村結子さん。八畳くらいのスペースに並べられた若手デザイナーのコレクションに圧倒された。「それまで全く縁がなかった竹下通りを、エースに行く時だけはどきどきしながら歩いた」と吉村さん。
■インスピレーションソース
98年には代官山の裏通りにインポートを中心とした「バサラ」がオープン。「初めて入った時、ヤバイ店を見つけてしまったと興奮した」と語るのはアートディレクターの米津智之さん。ヴァヴァ・ドゥドゥ(VAVADUDU)やマラヤン・ペジョスキー(Marjan Pejoski)、ジェレミー・スコット(Jeremy Scott)、ヘルコビッチ・アレキサンドレ(HERCHCOVITCH;ALEXANDRE)など、海外のカッティングエッジなデザイナーの服に衝撃を受けたという。「パワーのある服からインスピレーションを受けて、それに負けないものを作ろうとグラフィックデザインをしていた」と米津さん。
「それまで見てきた服の価値観をひっくり返された店」と言うのはスタイリストのテッペイさん。学生時代にバサラと出会い、スタイリストとしてのセンスを作ったルーツのひとつとなった。
■ファッションへのリスペクト
「あの店に行けば、新しいとんがったものが見つかった」と話すのは、ナノ・ユニバース(nano universe)のプレス高岡英里子さん。10年前は、ビッグメゾンのコレクション情報もすぐには手に入らなかった。若手デザイナーのコレクションならなおさらだ。バサラでは、磯部さんとバイヤーの秋枝由喜子さんがパリやロンドンで、足で探したデザイナーの服が手に入った。ほかのどの店よりも早く、セレクトも独特だった。
83年生まれのテッペイさんは、学生時代からネットでショーの写真や映像を見て、ネットショッピングもできた世代。「実物を手にとって肌で感じられるかどうかの差は大きい。バサラやエースでは単なる情報以外のものを得ることができた」と語る。
売れないかもしれなくても、面白いデザイナーの服は置く。ファッションへのリスペクトと強いメッセージがある店だった。(c)MODE PRESS/Yoko Era<arex>





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