【サルト/フランス 14日 AFP】フランス・サルト県で200年以上続く馬毛(鬣、尾)専門の織物工場が、ラグジュアリー企業によって買収され、新たな市場拡大に乗り出している。
■老舗の馬毛専門織物工場が建ち並ぶ
フランス・マン県の隣に位置する小さな街シャレは、馬毛専門の織物工場が15軒ほど軒を連ねている。創業1905年、しなやかで手触りの良い馬毛織物は主に家具に使用されている。
横糸にはコットンやリネンを使用し、馬の毛一本一本を下糸に絡ませて織る。布幅は狭く55cmから60cmのものが多い。馬毛は現在モンゴルから輸入され、5cm程の厚みある編毛を作るためには、5頭の尾を要す。毛は黒、グレー、白、栗色などそれぞれに色分けされ、色ごとに編毛が作られる。
■「腐らない布」として普及
馬毛織物の歴史は長く、14世紀には『腐らない布』と呼ばれていた。更に第二帝政時代には多くの椅子、馬車内の肘掛け椅子に使用された。その後下火となったが、1995年、エルメス(Hermes)グループにより買収され命が吹き替えった。
エルメス持株会社の馬毛織物「Ceba」社長オリビエ・ヌリー氏は「我々と同じ技術を持つ地域は世界でも二カ所だけです。」と断言する。
一カ所はシャレで、もう一カ所はイギリスにある。中国も馬毛織物を製作しているが、「縦糸にポリエステルを使っていて、同じ製品と呼べません」と説明する。
更に「我々が一年間に生産できる織物は4000mです。一日に3m、職人がゆっくりと丹念に織り上げます。そして上質で天然素材だけを使用した織物が出来上がるのです」と続く。
職人達はいつも明るく誇りを持って仕事に臨んでいる。この道6年のマリー・クレール・グリゴンさんは織物に対して「私は完璧主義者として織り上げています」。また1978年入社のアニタ・クラヴィエさんは「一織り一織りに魂を込めています」と語る。
■クライアントは宮殿や美術館、そして有名デザイナー
ヌリー氏は「お客様にはクラシックな生地を使用する有名デザイナー達も多くいます。もちろん宮殿や美術館もお客様です」と市場を説明する。
また最近では若手デザイナーが素材として興味を持ち始めている。特別にコンテンポラリー柄の馬毛織物が500m注文された。パリの大手ホテルがリニューアルのため、ベットカバー用に注文したという。
このようにして新たな市場が生またことで、新しいテクニックを用いて布幅を広げ、薄さにも対応していく試みが始まっている。生地はエルメスやシャネルのバックとして使用され始め、「有名ブランドとのコラボレーションも考え始めている」とヌリー氏は発表している。
馬毛織物が靴や他の企業と組み、新しい製品として発展する日も近い。写真は2006年10月7日に、フランス・パリにて撮影。(c)AFP/ PIERRE VERDY
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