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女王の香り―マリー・アントワネットの香水、ついに完成-フランス

  • 2006年12月15日 18:58 
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写真は、ソフィア・コッポラ監督作品「マリー・アントワネット(Marie-Antoinette)」のワンシーン。2006年4月27日に撮影。(c)AFP/Leigh Johnson

【パリ/フランス 15日 AFP】18世紀の王室付調香師が書き残した文書をもとに、マリー・アントワネット(Marie Antoinette)が使用したとされる香水が復元された。今週金曜から一般に公開され、ベルサイユ宮殿にて販売される予定だ。

 この香水は、3年間におよぶ宮殿側、調香師、歴史学者の協力の末に再現された。ベルサイユ宮殿には、小瓶に詰められた1000個もの香水が、10個限定ののクリスタルカットフラスコ入り香水と共に配送された。

■制作期間は18ヶ月

 当時の技術と自然抽出素材を駆使して再現されたこの香水は、フランスの調香師の中でトップに君臨するフランシス・クルジャン(Francis Kurkdjian)の手によるもの。彼は、調査と香りの調合に18ヶ月もの時を費やした。

 「大変な挑戦でした。『マリー・アントワネットが使用した香水』について明確な資料を残した人なんて、誰もいないですからね。」「当時は、香水を1種類だけ使用するといった習慣はありませんでした。ひとつの香りを長時間持続させることは不可能でしたからね。多種の香水を混ぜ合わせるので、毎回少しずつ違う香りになったと思います」、とクルジャン氏は語る。

 「しかし、発見された文書には女王の好みなどが書き記してありました。それを元に、彼女が身に纏っていた香りを再現したのです」

 クルジャン氏は調香の際に、歴史学者のエリザベス・フェイドー(Elizabeth Feydeau)が発見した、調香百科事典を使用した。この事典は、当時の王室付調師ジャン・ルイ・ファルジオン(Jean Louis Fargeon)が執筆したもの。

 王室統治時代に盛んに使用されていた植物エキスを蒸留抽出する技法と、クルジャン氏の芸術的配合によって生みだされた香りは、女性の内なる宝石を見いだすかのような仕上がりだ。

■香りはロマンチックなフローラル系

 クルジャン氏は、「今回は、フローラルな香りを選びました。彼女は、特にバラのような、軽やかな花の香りをまとうことを好んだようです。逆に、重い香りや、動物のようなワイルドな香りは苦手だったみたいですね」と話を続ける。

 「私たちは、彼女の感性を理解しようと努力しました。彼女は、自由を求めて戦い続けた極めてロマンチックな人物なんです。」

 彼女は、1770年に弱冠14歳でフランスに到着し、1793年のフランス革命時に国家反逆罪で死刑執行されることとなった。クルジャン氏は、「どの瞬間に永遠性を与えるべきかを決断する必要性にせまられました」と語る。

 「そして私たちが選んだのは、トリアノン(Trianon)時代の、若き母親としての彼女の姿にテーマを絞りました。晩年、避難のために移住した小さな城で暮らす彼女の姿です。」

 宮殿側の説明によると、この香水は、アイリス・バラ・ジャスミン・月光香・オレンジブロッサムなどのフローラルな香りに、ヒマラヤスギ・サンダルウッドなどのウッディーな香りを加え、トンキン産のムスクとグレイアンバーをベースに配合したもの。

■「女王の目覚め」

 「女王の目覚め(MA, Sillage de la Reine)」と名付けられたこの香水は、ヨーロッパのみならずアメリカ、アジアなど世界中の香水コレクターやマリー・アントワネットファンの注目の的。クリスタル製のフラスコ商品は8000ユーロ(約125万円)という値段にも関わらず既に3件の予約が入った。350ユーロ(約5万5千円)で販売される小瓶にも、インターネットを通じて200件の予約が入っている。

 クルクジャンは歴史的・科学的な価値の高い今回の挑戦を無償で引き受けている。それにも関わらず高価格な理由は、人工素材を一切排除し、自然素材のみを使用した結果とのこと。例えば、アイリスの花を10キロ購入するには、約776万円もの金額が必要という。

 この収益は、マリー・アントワネットが所有していた旅行用チェストの購入費にあてられる予定。国宝にも指定されているこのチェストは、去年の12月に5430万円で宮殿側に落札されたもの。

■今回限りで再生産の予定はなし

 宮殿側は、これ以上の香水を今後開発する予定はないとコメント。しかし、マリー・アントワネットを主人公にした映画を撮影し、ヴェルサイユ宮殿でもロケを実施した、アメリカ人監督ソフィア・コッポラ(Sofia Coppola)に贈呈するため香水は取り置きしている様子。

 コッポラ同様に、クルクジャンも香水に「彼女が生きた時代の様子を人々に伝達する役割を果たす鍵となれば」との願いを込めている。

 しかし、当時の香りをそのまま再現すると現代人の好みには過剰すぎとなるため、職人的な判断が必要とされたという。「芸術や音楽といった視覚や聴覚の面では人々はその過剰さを難なく受け入れることが可能ですが、嗅覚となると身体的な拒絶が反射的に起こってしまうのです。」「昔の人たちは、現代人のように頻繁に入浴しませんでした。また、我々が不快感を感じるような香りの強い肉を食べていました。このように、完全に香りにまつわる環境が異なっていたのです。」

 「私は、皆さんに香りに対する不快感を持って欲しくなかったのです。なので、ベルガモットなどの香りを自分なりに配合し、香りを多少和らげることにしました。しかし、それ以外は忠実に再現するよう努力しました。」

 「コッポラが映画音楽にロックを取り入れたのと同じことですよ。マリー・アントワネットがパーティーの際メヌエットをかけた、と言われても、現代人はピンとこないものなんです。」

写真は、ソフィア・コッポラ監督作品「マリー・アントワネット(Marie-Antoinette)」のワンシーン。2006年4月27日に撮影。(c)AFP/Leigh Johnson
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