【5月19日 AFP】レバノン系米国人リマ・ファキ(Rima Fakih)さんの黒髪にティアラが光った直後から、議論は巻き起こった。

 史上初のイスラム教徒のミスUSAなのか、ポールダンスのコンテストで優勝した写真が公表されてもタイトルを保持できるのか、という論争に加え、ブログ界では、ファキさんはイスラム過激派なのではないかという疑問もわき起こっている。

■ヒズボラとつながり?

 ミシガン(Michigan)州ディアボーン(Dearborn)に住むレバノン移民のファキさんは、キリスト教とイスラム教両方の教義の中で育てられ、イスラム原理主義者でないことは明らかだ。全国放送のテレビ番組でビキニ姿も披露した。

 しかし、保守派のブロガーDebbie Schlusselさんは、米国がテロ組織と指定するレバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラ(Hezbollah)の中にもファキという名字のメンバーがいることから、ファキさんは過激派だと主張する。

 ファキさんがミスUSAに選ばれるとすぐに、根拠のない非論理的な噂が広がり、「リマ ファキ ヒズボラ」がグーグル(Google)の検索キーワードに表示されるようになった。

 世界でも有数のヒズボラ専門家でもあるスウェーデンの政治学者Magnus Ranstorp氏は、「ばかげている」と語る。「ファキさんがベイルートのヒズボラ活動地域に姿を見せれば、むちで打たれるだろう」
 
 アラブ系米国人とイスラム教徒のグループは、ファキさんの優勝を、彼らの文化や役割が米国で多様性を持っていることの証だとしてたたえている。

■服を着てポールダンス

 2007年の「ストリッパー101(Stripper 101)」コンテストに出場しポールダンスを披露した写真も、タンクトップとショートパンツを身につけた姿で踊っているのであって裸ではないが、祝福ムードに影を落とした。

 ファキさんが出場して優勝したのは、地元のラジオ局が後援した全員が女性の部門で行われたコンテスト。このラジオ局はタイトルは保持されるべきだと主張している。

 1984年には、ミス・アメリカ(Miss America)に選ばれた初のアフリカ系米国人となったヴァネッサ・ウィリアムズ(Vanessa Williams)さんが、男性誌ペントハウス(Penthouse)にヌード写真が掲載されたため、タイトルを返還せざるをえなくなったが、時代は確実に変わっているし、ファキさんはヌードだったわけではない。

 今年のミスUSA出場者たちに、以前よりずっと露出した下着姿でポーズをとらせ、物議をかもした同大会本部だが、今のところコメントは出していない。ファキさんのブログとツイッター(Twitter)も更新されていない。(c)AFP


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