【4月27日 AFP】存続の危機にあった米ハリウッド(Hollywood)を象徴する有名な「HOLLYWOOD」サインが守られることになった。保護に必要な寄付金集めが続いていたが、米誌プレイボーイ(Playboy)の創始者ヒュー・ヘフナー(Hugh Hefner)氏の90万ドル(約8400万円)の寄付で目標額に達したという。

 事のいきさつはこうだ。サインの周辺土地を所有しているシカゴ(Chicago)の投資家グループが、開発業者に土地を売却する計画があることを示した。その後、投資家グループは4月14日を期限として、サインの保護を訴えるトラスト・オブ・パブリック・ランド(Trust for Public Land)に1250万ドル(約12億円)で売却することに同意した。

 そこから1250万ドルを用立てるための寄付金集めが始まったが、4月初めになっても目標金額に150万ドル(約1億4000万円)足りなかったため、期限は延期されていた。

 トラスト・オブ・パブリック・ランドは26日、サインをバックに記者会見を行い、ヘフナー氏の寄付で目標金額に達したと発表した。

■サインはカリフォルニアドリームの象徴

 ヘフナー氏は、「子どもの頃、映画に夢や想像をかき立てられた。ハリウッドのイメージは、わたしの人生やプレイボーイに大きな影響を与えた。ハリウッドサインは、ハリウッドのエッフェル塔(Eiffel Tower)のようなもの。そのような重要な文化財の保護に役立つことができてうれしい」とコメントを出した。

 会見にはカリフォルニア(California)州のアーノルド・シュワルツェネッガー(Arnold Schwarzenegger)知事も出席。アクション俳優として活躍していた同知事は、スターになる夢を抱いていた無名のボディービルダー時代にハリウッドサインに刺激を受けたと語った。

「世界の名所の中でも、ハリウッドサインはカリフォルニアドリームを象徴する最も有名なもののひとつ。ポケットに数ドルだけを詰め込んで、俳優になるという夢を描いてオーストリアから米国にやってきたとき、このサインがわたしに語りかけてくれた」

 知事だけでなくスティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)監督やトム・ハンクス(Tom Hanks)ら多くのハリウッドスターも、サインの保護を支持。寄付金は米50州と10か国からも届いたという。

■過去には自殺も

 ロサンゼルス有数の人気スポットのひとつとなったハリウッドサインだが、破損したこともあり、1970年代に9人が1文字あたり2万7777ドル(約260万円)の寄付をして改修が行われた。

 サイン周辺は一般人の立ち入り禁止となっていて、侵入者を防ぐためモーションセンサー付きの警報システムが設置されている。というのも、サインにはゾッとするような歴史もあるからだ。

 1932年、英女優ペグ・エントウィスル(Peg Entwistle)がサインの「H」部分に上り、飛び降りて自殺している。(c)AFP