【6月8日 AFP】今年で創設25周年を迎えるカナダのエンターテインメント・グループ「シルク・ドゥ・ソレイユ(Cirque du Soleil)」が、記念すべき年を祝う新プログラムとして、昆虫をテーマにした『オーヴォ(Ovo)』を発表した。

 モントリオール(Montreal)で4月に公開された『オーヴォ』は、謎めいた卵の登場に驚く昆虫たちの世界を表現している。7月にケベック市(Quebec City)、9月にトロント(Toronto)、その後海外で上演される。

 53匹の色鮮やかで奇妙な「昆虫」たちの世界が1時間半にわたって描かれ、「不器用で気まぐれな虫」とテントウムシの恋愛も展開する。

 衣装デザイナーのリズ・バンダル(Liz Vandal)氏は、イモムシを可愛がり、チョウを家の中に入れ、岩の下の虫たちにこっそり近づいて遊んだ子ども時代を思い出してデザインした。

 カブトムシが空中ブランコで踊り、ジャグラーがアリの行進をまね、天井から吊られたロープにぶら下がったクモたちが求愛する。ブラジルの振付師デボラ・コルカー(Deborah Colker)氏が演出を手掛け、サンバのビートや活気のあるボサノバに合わせ、ストーリーは一定のスピードで進んでいく。

■20人の寄せ集め集団から1000人のエンターテインメント・グループへ

 1984年に20人のストリートパフォーマーを寄せ集めてできた集団が、今や推定30億ドル(約2950億円)の純利益を誇る世界的なエンターテインメント・グループに成長した。現在は常設および巡回公演を合わせ、世界各地で19の公演を行っており、昨年は1100万枚のチケット売上を記録した。創設以来、5大陸200都市以上で9000万人を魅了している。

 中国、ロシア、米国、カナダ、ベルギーなど40か国の国籍を持つ1000人以上の演者が世界中で活躍し、『オーヴォ』にも13か国の出身者が出演している。巡回公演には、理学療法士、マッサージ師、そして年少者たちのために教師も同行する。

 サーカスを扇情的でストーリー性のあるものにしようと考えた創設者ギー・ラリベルテ(Guy Laliberte)氏のアイデアが、エンターテインメント界に革命を起こしたが、彼らがそのルーツを忘れることはない。クリエーターのChantal Tremblay氏は、「トレーラーハウスじゃなくて、上等なホテルに泊まるけど、ストリートパフォーマーとしての姿勢はずっと維持している」と語った。(c)AFP/Clement Sabourin