【9月9日 AFP】ニューヨーク(New York)を舞台にしたコメディー映画で有名なウディ・アレン(Woody Allen、73)監督が前週末、ロサンゼルス(Los Angeles)でオペラ監督としてデビューした。各紙が9日に掲載した批評によると、評価はおおむね良好のようだ。

 世界三大テノールの一人で、ロサンゼルス・オペラ(Los Angeles Opera)の総監督を務めるプラシド・ドミンゴ(Placido Domingo)氏が、アレン監督に熱烈なラブコールを送り続けた結果、今回のオペラ監督が実現した。アレンが監督を務めたのは、ジャコモ・プッチーニ(Giacomo Puccini)の3部作「イル・トリッティコ(Il Trittico)」の1つ、喜劇「ジャンニ・スキッキ(Gianni Schicchi)」。

「オペラ監督として自分は世界最良の選択ではないと語っていたアレンが、このオペラを手掛けることで世界最良の選択だったことを示した」と書いたのはロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)紙の批評家マーク・スード(Mark Swed)氏だ。同氏は今回の舞台を「天才の産物」とたたえている。

 ニューヨークタイムズ(New York Times)紙の批評家Anthony Tommasini氏は、アレン監督の「スキッキ」を独創的で現代的だと称賛する一方で、「アレン監督が目に見えるおもしろさにこだわりすぎ、せわしない舞台になった」と指摘。「原作のハッピーエンドを不吉な争い変えた部分は残念だ」と評した。

 エンターテインメント情報紙バラエティ(Variety)の批評家Alan Rich氏の評価も称賛と批判が入り交じったものとなっている。舞台の冒頭について、「生煮えの言葉遊びをスクリーンいっぱいにちりばめたモンタージュ映像ではじまるが、正直言ってこれはよい出だしではない」と辛口のコメント。ただ、その後は主演のトーマス・アレン(Thomas Allen)やサント・ロカス(Santo Loquasto)が手掛けた舞台美術に助けられ、何とか素晴らしい作品に仕上がっていると述べている。

 この舞台は9月26日まで上演される。(c)AFP