【4月30日 AFP】幸せはお金で買え、しかもお金が多いほど多くの幸せが手に入る──米ミシガン大学(University of Michigan)の経済学者による研究が、29日発行のアメリカ経済学会(American Economic Association)の専門誌「アメリカン・エコノミック・レビュー(American Economic Review)」5月号「Papers and Proceedings」に発表された。

 財産と満たされた生活の関連性は驚くべきことではないが今回、米ミシガン大のベッツィー・スティーブンソン(Betsey Stevenson)氏とジャスティン・ウォルファーズ(Justin Wolfers)氏による研究の注目点は、収入が基本ニーズを満たすレベルを一定超えるとその効果は薄れていくとした従来説を否定していることだ。2人は論文の中で、所得と幸福感の相関関係に「飽和点」を示す証拠はないとし、「イースタリンの逆説」や類似の学説は誤りだと主張している。

 2人の論文は激しい議論が交わされている分野の最新研究で、現在は南カリフォルニア大学(University of Southern California)に所属する経済学者リチャード・イースタリン(Richard Easterlin)氏が1974年に発表した「イースタリンの逆説(Easterlin Paradox)」とは矛盾してみえる。

 日本に関する調査におおむね基づいたイースタリン氏の研究では、日本は奇跡的な経済成長を遂げたにもかかわらず、国民の幸福度にはほとんど変化がなかったとしている。

 また後年の研究では、年収が米国では7万5000ドル、それよりも貧しい国々では8000~2万5000ドルの範囲を超えると、お金が幸福度に影響を及ぼさなくなることが指摘されている。

 両氏は米調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が実施した調査「ピュー・グローバル・アティテュード(Pew Global Attitudes)」とギャラップ世界世論調査(Gallup World Poll)、さらに国際社会調査プログラム(International Social Survey ProgrammeISSP)の3調査による国際比較研究データを分析した。

 両氏によれば「一国の中では、平均幸福度と平均所得の間に明らかな相関関係がみられた」という。さらに国が豊かになると所得から得られる満足感は下がっていくが、なくなることはなく、また国全体の所得が倍増すれば国民の幸福度に与える影響は等しく、それは当初の所得にかかわらないという。(c)AFP/Rob Lever