【3月20日 AFP】北欧バルト海(Baltic Sea)の海底に沈む約200年前の難破船の中から見つかったビールを復刻し、「現存する世界最古のビール」と銘打って2013年に発売すると、フィンランドの地ビール醸造所スタルハーゲン(Stallhagen)がこのほど発表した。

 スタルハーゲンのヤン・べンストローム(Jan Wennstroem )代表取締役は声明で、復刻ビールについて「国際市場では特色あるビールの需要がかつてなく高まっており、世界中のビール好きの人々の関心を集める商品になると確信している」と期待感を示している。

 難破船のビールは2010年7月、潜水調査でシャンパンの瓶とともに発見された。いずれも世界最古とされ、塩分を含んだ海水やゆっくりした潮流、摂氏5度に保たれた海水温、水圧、海底の暗さといった保存環境のおかげで現在でも飲用可能な状態にあった。シャンパンのほうは既に競売で売却されている。

 見つかったビールは、フィンランドの研究施設VTTで成分分析された結果「ペール・エール」と呼ばれる上面発酵ビールで「現代のビールに似ている」ことが分かった。ただ、VTT研究員によると原料が麦芽100%か、小麦など他の穀物も含んでいるかどうかまでは判別できなかったという。

 難破船の建造地も特定できないままだ。1800年代前半に北欧で建造された2本マストの帆船で、1825年~30年頃に沈没したとみられる。史料調査では、ドイツから当時ロシア帝国の支配下にあったフィンランドに向けて航行中だった可能性が指摘されている。

 この難破船で発見された物品の法的所有権を持つフィンランドのオーランド(Aaland)自治州当局によると、スタルハーゲンは復刻ビールの売り上げの一部を、同州の海洋考古学調査や水質改善対策に寄付することに同意したという。(c)AFP