【3月5日 AFP】米誌フォーブス(Forbes)が4日発表した世界の長者番付(2013年版)で、メキシコの通信王カルロス・スリム(Carlos Slim)氏が4年連続で1位となった。2位は米マイクロソフト(Microsoft)会長のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏、3位はスペインのアパレル大手インディテックス(Inditex)の創業者、アマンシオ・オルテガ(Amancio Ortega)氏だった。

 メキシコの携帯電話事業会社アメリカ・モビル(America Movil)や持ち株会社グルポ・カルソ(Grupo Carso)を保有する大富豪スリム氏の資産は、1年前より40億ドル(約3730億円)多い730億ドル(約6兆8200億円)だった。

 同じく長者番付リスト上位の常連、ゲイツ氏は「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団(Bill and Melinda Gates Foundation)」を通じて慈善活動に資産を投じながらも資産総額を前年より60億ドル(約5600億円)増やして670億ドル(約6兆2600億円)とし、2位の座を維持した。

 人気ブランド「ザラ(Zara)」を傘下に持つアパレル大手インディテックスのオルテガ氏は昨年の375億ドル(約3兆5000億円)から570億ドル(約5兆3200億円)へと大きく資産を増やし、5位から3位に順位を上げた。

 資産の増加幅でトップとなったオルテガ氏と対照的に、ブラジルの採掘王エイケ・バチスタ(Eike Batista)氏は194億ドル(約1兆8100億円)も資産を減らし、昨年の7位から100位へと急落した。

 4位に入ったのは投資会社バークシャー・ハザウェイ(Berkshire Hathaway)を率いる米著名投資家ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)氏で、資産額は535億ドル(約5兆円)だった。5位は米ソフトウェア大手オラクル(Oracle)の創設者で最高経営責任者(CEO)のラリー・エリソン(Larry Ellison)氏で、資産額は430億ドル(約4兆円)。

■億万長者、過去最多の1426人

 今年の長者番付にはフォーブス誌史上最多の1426人が名を連ね、このうち210人が新顔だった。ランク入りした富豪たちの資産を全て合わせた額は、昨年の4兆6000億ドル(約430兆円)からさらに増えて5兆4000億ドル(約504兆円)となった。

 番付入りの富豪を最も多く輩出した国は米国で、計422人がランク入り。次が中国で122人、ロシアの110人、ドイツの58人と続く。ランク入りした女性富豪の数は昨年から34人増えて138人になった。フォーブス誌は新たに番付入りした富豪が大幅に増えた理由として、株式市況や消費者向けブランドの業績が改善したことを挙げている。

 その一方で、資産額10億ドル(約935億円)代を維持し過去4年連続で番付入りしていたメキシコの麻薬カルテル最高幹部ホアキン・グスマン・ロレア(Joaquin Guzman)容疑者は長者番付から名前が消えた。

 「エル・チャポ(El Chapo)」の名でも知られるグスマン容疑者については、グアテマラとの国境付近で前月起きた銃撃戦で死亡したとのうわさも出ている。フォーブス誌はグスマン容疑者と連絡が取れず、資産総額の確認がとれなかったと説明している。

■サウジ王子はフォーブス番付を拒否

 一方、サウジアラビアのアルワリード・ビン・タラール(Alwaleed Bin Talal)王子は、自身の資産額が不当に低く評価されているとして、今後はフォーブス誌への協力を拒否すると発表した。

 アブドラ・ビン・アブドルアジズ国王(King Abdullah bin Abdul Aziz)のおいにあたるアルワリード王子は、米アップル(Apple)、米金融大手シティグループ(Citigroup)、米メディア大手ニューズ・コーポレーション(News Corp)、米交流サイト大手フェイスブック(Facebook)などの大株主であり、自身が率いる投資会社キングダム・ホールディング(Kingdom Holding)を通じて高級ホテルチェーンも所有している。

 そのアルワリード王子についてフォーブス誌が算出した資産額は200億ドル(約1兆8700億円)で、王子の長者番付の順位は26位だった。これはブルームバーグ(Bloomberg)の長者番付に掲載された推定金額の280億ドル(約2兆6200億円)よりはるかに少ない。

 アルワリード王子は、フォーブス誌は自分の資産を意図的に低く算出し、中東の投資家や金融機関などに不利益をもたらそうとしているようだと同誌を非難し、今後はフォーブス誌の番付作成には協力しないと宣言した。ブルームバーグの長者番付への協力は今後も続けるという。(c)AFP