【1月4日 AFP】有名ブランドのバッグやDVDの海賊版が横行することで知られる中国で、その模倣のレベルが新たな「高み」に達するかもしれない──。

 中国南西部・重慶(Chongqing)の不動産開発業者、美全22世紀(Meiquan 22nd Century)が建設中のビルと、北京で建設が進められている39階建ての複合商業施設が酷似しているとの指摘が挙がっている。北京で建設中のビルは、イラク出身で英国在住の著名建築家、ザハ・ハディド(Zaha Hadid)氏が設計したものだ。いずれの建物も丸みを帯びた輪郭と白のストライプが特徴的で、美全22世紀の設計が「盗作」と位置づけられる可能性もある。

 雑誌「中国知的財産(China Intellectual Property)」誌は、美全22世紀の建設計画について「設計図に(ハディド氏の設計との)類似点がある」と指摘。また美全社が手掛けた建築物の中には、他の建築物に類似しているものが複数存在するとしてリストアップしている。

 ザハ・ハディド・アーキテクツ(Zaha Hadid Architects)の北京プロジェクト総括責任者である大橋諭(Satoshi Ohashi)氏は、独デア・シュピーゲル(Der Spiegel)誌電子版に対し「重慶の開発業者が(ハディド氏の)プロジェクトのデジタルファイルや三次元画像を入手することは可能」と語っている。

 一方の美全社は自社プロジェクトについて、一切の模倣を否定している。インターネット上に掲載された文書によると、Yao Yumao社長は3日の記者会見で「批判は真実に基づいたものではなく、美全社にマイナスの影響を及ぼした」と抗議した。

 高級ブランドの財布の類似品やハリウッド映画の海賊版が最もよく知られている中国のコピー商品。中には3ドルで売られている英キャサリン妃(Catherine, Duchess of Cambridge)の婚約指輪や偽のアップルストアなどもある。

 中国のある不動産開発業者は2012年、ユネスコ(UNESCO)世界遺産に登録されているオーストリア・アルプス山脈の小村、ハルシュタット(Hallstatt)を模倣して作った村を公開した。中国の国営新華社(Xinhua)通信はこれを、中国の「模倣文化の大胆な例」と伝えている。(c)AFP