【12月4日 AFP】米メディア大手ニューズ・コーポレーション(News Corporation)のルパート・マードック(Rupert Murdoch)会長は3日、同社を2社に分割して誕生する新聞・出版部門の最高経営責任者(CEO)に、傘下の米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street JournalWSJ)のロバート・トムソン(Robert Thomson)編集長(52)を指名した。

 オーストラリア出身のトムソン氏はマードック会長の腹心とされ、米ダウ・ジョーンズ・ニューズワイヤーズ(Dow Jones Newswires)の編集長も兼務している。この発表を皮切りに、同社の大規模な事業再編は数週間で完了するとみられている。

 また同時に、iPad(アイパッド)向け電子新聞「ザ・デーリー(The Daily)」の廃刊という予想外の発表も行われた。十分な読者を獲得できなかったことが理由とされている。同紙のアプリケーションは12月15日をもって姿を消すが、マードック氏は「そのブランドは他のチャンネルで生き続ける」という謎めかしたコメントを残している。

 同社の分割計画は、成長が著しい映画・テレビ事業を手掛ける「フォックス・グループ(Fox Group)」と、ニュース・出版分野の資産を管理する部門に分けるというもの。後者は「ニューズ・コーポレーション」の名を継承し、1月1日にトムソン氏が最高経営責任者(CEO)に就任する。マードック氏は以前の発表どおり、フォックス・グループのCEO兼会長と新ニューズ・コーポレーションの会長を兼務する。

 今夏に発表されたこの分割計画は、傘下の英日曜大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド(News of the World)」が起こした盗聴事件による世評と経営への打撃に怒る株主をなだめる目的もあるとみられているが、マードック氏はこのいずれにも言及していない。(c)AFP/Sophie Estienne