【11月13日 AFP】スペイン銀行協会(Spanish Banking Association)は12日、住宅ローンの支払いができない状態にある人の住宅の差し押さえを、特別な必要がある場合は2年間停止すると発表した。立ち退きを要求されて絶望した住宅所有者の自殺が相次ぎ、国民の間で批判が高まっていた。

 2008年の地価暴落で銀行と債務者の双方が打撃を受けたスペインでは、負債を抱えて立ち退きを迫られた住宅所有者の自殺が過去15日間で2件起きていた。

 スペインの銀行協会は声明で、「住宅ローンに関連した差し押さえで生じた社会的な警告」を受けて、8日に加盟銀行による決定を政府に伝えたと述べ、「人道的な理由から、社会的責任の枠組みの中で」特別な必要がある場合は差し押さえを停止すると明らかにした。

 9日、元政治家のアマイア・エガーナ(Amaia Egana)さん(53)が、バスク(Basque)自治州の都市バラカルド(Barakaldo)にある自宅アパートの窓から飛び降りて自殺した。警察の説明によると「当局者が彼女を立ち退かせようとしたところ、自殺した」という。事件から2日後の11日、エガーナさんが住宅ローンを組んでいた貯蓄銀行Kutxabankは、新たな規制が発表されるまで住宅ローンに関連する全ての差し押さえ手続きを即時停止するよう命令を出した。

 エガーナさんの自殺の15日前には、ホセ・ルイス・ドミンゴ(Jose Luis Domingo)さん(53)がスペイン南部のグラナダ(Granada)にある自宅で、当局者が差し押さえにやって来る直前に首つり自殺をした。

 スペインは景気後退と記録的な高失業率に見舞われる中、厳しい緊縮財政を余儀なくされている。自殺のニュースを受けて、数千人の市民が銀行に抗議するデモを行った。非難の高まりを受け、政府は立ち退きの危機への対応策を協議するため、野党と異例の会合を持つ予定だ。(c)AFP/Elodie Cuzin