【10月11日 AFP】トルコ当局は10日、同国領空を飛行していたモスクワ(Moscow)発ダマスカス(Damascus)行きのシリアの旅客機を「武器密輸の疑いがある」として強制着陸させ、機内から「違法貨物」を押収したと発表した。トルコのアナトリア(Anatolia)通信などが伝えた。

 シリアのA320型旅客機は、トルコ政府が緊急発進させた戦闘機2機によりアンカラ(Ankara)の空港に強制着陸させられた。同機には35人の乗客が乗っており、インタファクス(Interfax)通信が伝えたロシア外務省関係者の話によると、中には子どもを含むロシア人17人が含まれていたという。

 押収された貨物について、民間テレビ局NTVはミサイル部品の疑いがあると報じたが、国営放送局のTRTはダマスカスに輸送される予定だった通信機器の可能性があるとしている。

 トルコのアフメト・ダウトオール(Ahmet Davutoglu)外相の発表によれば、トルコ政府はこのシリア機が民間航空規則で報告が必要とされる貨物を運んでいるという情報を得たという。同機はその後、シリアへの再出発が許可されたが、押収された貨物はトルコ政府が保持し、詳しい調査を行うとしている。

 NTVによれば強制着陸の後、トルコ政府は同国の各航空会社に対し、シリア政府による報復の可能性があるためシリア領空の飛行を避けるよう勧告した。各社はこれ受け運航便の航路変更を行い、同国の航空交通は一時混乱した。

 シリアから発射された砲弾がトルコ側の国境付近の町に着弾し、女性2人と子供3人の民間人が死亡した3日以降、国境付近で散発的に砲撃が行われており、両国関係は緊張した状態が続いている。(c)AFP