【6月14日 AFP】水産庁の外郭団体で日本の調査捕鯨を実施している日本鯨類研究所(Institute of Cetacean Research)は13日、前年行われた調査捕鯨で得た鯨肉のうち、4分の3が売れ残ったと発表した。

 同研究所は鯨肉の消費促進と収益を増やすことを目的として、前年11月から今年3月にかけ、北西太平洋で昨夏実施した調査捕鯨で得た冷凍鯨肉の入札を頻繁に行った。

 発表によれば、入札したミンククジラ、ニタリクジラ、イワシクジラの肉約1200トンのうち、約75%が落札されず売れ残ったという。同研究所の広報担当者はAFPに対し、この「残念な」入札結果は食品販売業者らが反捕鯨活動家とのいざこざを避けようとしたことが原因だと述べ、鯨肉の新しい販促手法を考えなければいけないと語った。

 日本の北部では沖合の調査捕鯨とは別に小規模の沿岸捕鯨が行われおり、そこから出荷される冷凍ではない新鮮な肉は、鯨食が深く根付いている地域で多くの買い手を集めている。

■需要低迷と輸入で供給過剰に

 フリージャーナリスト佐久間淳子(Junko Sakuma)氏は市民団体「イルカ&クジラ・アクション・ネットワーク(Iruka & Kujira (Dolphin & Whale) Action Network)」を通じて発表したレポートの中で、日本の世論は総じて調査捕鯨船に妨害行為を加えてきた反捕鯨団体への憤慨から調査捕鯨を支持していると分析した。

 佐久間氏はさらに、日本人のこの感情に頼って捕鯨を続けている関係者の中には、日本の遠洋調査捕鯨船団に対する妨害行為を繰り返している過激派環境団体「シー・シェパード(Sea Shepherd Conservation SocietySSCS)」に感謝している人もいるはずだと指摘した。

 鯨肉の入札結果を分析した佐久間氏によれば、北西太平洋の調査捕鯨で得られた鯨肉のうち、最高級のものの人気は依然として高い。だが、一般需要の低迷とアイスランドからの輸入により、鯨肉は市場で供給過剰になっており、このことが日本の捕鯨活動の持続を不可能にしているという。(c)AFP/Hiroshi Hiyama

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