【5月25日 AFP】欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ(Mario Draghi)総裁は24日、欧州連合(EU)は「歴史上、重大な局面」に立たされていると述べ、債務危機はEUの「弱さ」を示しているとの認識を示した。その上で、経済成長は優先課題ではあるが、「秩序ある財政なくしては、持続可能な成長は実現できない」と強調した。

 債務危機への対応が急務となっているユーロ圏では24日、悪い内容の経済統計の発表が相次ぎ、緊迫感が増した。また、23日夜に開かれた非公式の欧州(EU)首脳会合で具体的な解決策が打ち出されなかったことでギリシャの将来をめぐる不安が高まり、市場では安全資産とされるドイツ国債が積極的に買われた。

 24日発表された5月のユーロ圏購買担当者景況指数(PMI)速報値は約3年ぶりの低水準となった。5月のドイツのIFO景況感指数は過去6か月で最低水準だった。

 もしギリシャ国民が6月17日の再選挙で、EUなどの第2次支援につながる緊縮予算と改革を拒否したら、EUと国際通貨基金(IMF)およびECBは同国への融資をやめるとみられる。こうなると、ギリシャは事実上、ユーロ圏離脱を余儀なくされ、域内の財政基盤が弱いスペインなどの国に計り知れないリスクが波及する恐れがある。

 こうした不安が広がるなか、24日の市場では安全資産とされるドイツの10年物国債に買いが殺到し、利回りが過去最低の1.358%まで低下した。(c)AFP/Roddy Thomson