【2月10日 AFP】中国東部に建設中の原子力発電所の立地が地震多発地域にあたり住民の安全が懸念されるとして、安徽(Anhui)省望江(Wangjiang)県政府が中央政府に建設の即時中止を求めたと、国営紙新京報(Beijing News)が9日、伝えた。

 経済発展に伴い大量のエネルギー確保が急務の中国では、国内25か所で原発の建設計画が進んでいる。こうした状況のなか、地方政府が国に原発計画の中止を要求するのは極めて異例だ。
 
 新京報によると望江県政府は、隣接する江西(Jiangxi)省彭沢(Pengze)県で進められている原発建設計画について、今週初めに公表された環境アセスメント結果が、建設予定地から半径10キロ圏内の住民の人数を実際より少なく見積もっているなど信頼性に欠けると主張。また、予定地で2006年にマグニチュード(M)5.7、前年9月にはM4.6の地震が起きているなど、地震多発地域である点を指摘している。

 望江県政府関係者らは、「原発が放出するガスや有毒液体」によって風下の住民が深刻な被害を受ける恐れがあるとの懸念を口にしているという。

 これに対し、彭沢県政府は「全く根拠のない主張だ」と反論しているという。

 彭沢県の原発建設計画は2010年に承認され、既に初期工事も始まっているが、新京報は建設計画の評価報告書を公明正大に公表すべきだとの論評を掲載した。

 中国では現在、14基の原子炉が稼働中。世界原子力協会(World Nuclear Association)によれば、中国当局は2020年までに原発稼働能力を現在の5~6倍に増強したい考えだ。東日本大震災に伴う福島第1原発の事故を受け、中国も前年4月、国内全原発の総点検を実施している。(c)AFP