【1月19日 AFP】創業100年以上の歴史を誇る米映像機器大手イーストマン・コダック(Eastman Kodak)が19日、米連邦破産法11条の適用を申請した。

 同社のアントニオ・ペレス(Antonio Perez)最高経営責任者(CEO)は、「取締役会と経営幹部が、この時期に連邦破産法第11条を申請することが最も正しい選択だとの見解で全員一致した」との声明を発表した。

 写真フィルムの一般普及に貢献したイーストマン・コダックは、写真分野で先駆者となった大企業。だが、デジタルカメラ時代の波に乗り遅れ、数年間にわたって赤字が続いていた。同社の純利益が最後に黒字を達成したのは2007年だが、それもわずかな数字にすぎなかった。

 1892年にジョージ・イーストマン(George Eastman)が設立したイーストマン・コダックは、持ち歩ける手頃なサイズのカメラ「ブラウニー」を開発し、低価格で発売。米国のみならず世界各国で3世代にわたり多くの人たちが、ブラウニーで気軽にスナップ写真を撮影することを覚えた。

 さらに同社は、継続的に利益をもたらす写真フィルムも手がけるようになる。このカメラとフィルムビジネスが、数十年の長きにわたって同社に利益をもたらしてきた。

 当時のイーストマン・コダックは、今で言うならばアップル(Apple)やグーグル(Google)のように、米国随一の技術革新企業として称賛された。

 皮肉なことに、後に足をすくわれることになるデジタルカメラの分野でも、先陣を切ったのはイーストマン・コダックだった。同社は1970年代半ばごろ、すでにデジタル写真の研究開発に着手している。

 しかし1990年代、アジアの競合各社が米市場に進出する一方で、イーストマン・コダックは旧来型ビジネスから脱却する必要性を見誤り、業績不振に陥っていった。(c)AFP