【12月15日 AFP】古くからの伝統を誇る仏ボルドーワインより、中国の辺境で10年前に産声を上げたばかりのワインの方がおいしかった――。中国・北京(Beijing)で14日行われたワインのブラインド・テイスティングで、驚きの結果が出た。

 フランス人5人と中国人5人のソムリエが選んだベスト・ワインは、中国・寧夏回族自治区(Ningxia)産の怡園酒庄(Grace Vineyard)ブランドのカベルネ・ソービニヨンだった。

 審査では、ラベルを隠した状態でボルドー(Bordeaux)産と寧夏回族自治区産の2008~09年物ワインを5本ずつ試飲した。すると、1~4位を寧夏産ワインが占め、ボルドー産はメドック(Medoc)地区のシャトー・ラフィット(Chateau Lafite)の09年物がやっと5位に入るというショッキングな結果になった。

■寧夏産ワインに「計り知れない可能性」

 審査されたのはいずれも中国での販売価格が200~400元(約2500~5000円)のワインで、輸入ワインにかかる高率の関税(48%)がボルドーワインに不利に働いた面もある。

 しかし、ボルドーワインの専門家、ナタリー・シビル(Nathalie Sibille)氏は今回の結果について、「中国産ワインのクオリティーは実に素晴らしい。特に寧夏回族自治区は計り知れない可能性を秘めている」と述べた。

 近年ワイン人気が高まっている中国は、今やボルドーワインの世界最大の輸出先だ。専門家の間では今後20年以内に中国が米国を抜いて世界最大のワイン消費国になると予測している。

 中国で出回っているワインはほとんどが大量生産の安物だが、寧夏産のような高品質のものも徐々に生産が増えてきた。仏モエ・ヘネシー(Moet Hennessy)は今年、同社としては中国で初めて、寧夏回族自治区でスパークリングワイン生産用のブドウの植え付けを始めたと発表している。(c)AFP/Sebastien Blanc

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