【12月13日 AFP】仏原子力大手アレバ(Areva)は12日、東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所事故の影響で所有する鉱山資産の価値が下がったことにより、2011年の営業損失が16億ユーロ(約1600億円)に上る見通しになったと発表した。またアレバは大規模なコスト削減策を発表した。

 アレバは、24億ユーロ(約2500億円)の引当金を計上すると発表。その上で、12億ユーロ(約1200億円)規模の資産を売却し、今後5年間で投資額を約30%削減して77億ユーロ(約8000億円)にまで圧縮し、競争力を取り戻すためにコスト削減を実施するという経営計画「Action 2016」を示した。

 Action 2016による人員削減の詳細は発表されていないが、アレバは計画発表後に行われたフランス労働組合との会合で、フランス国内での新規採用を凍結することを伝えたという。これは年1200人の雇用喪失にあたる。

■2013年からは黒字回復見通し

 だが、株式の大半をフランス政府が所有し、フランス産業界の至宝とされてきたアレバは、来年は3~6%の収益拡大を見込んでいると述べ、営業利益は7億5000万ユーロ(約770億円)に上るとの見通しを示した。さらに2013年には、営業利益が12.5億ユーロ(約1300億円)に達する見通しだという。

「福島事故前の予測と比べて世界的に原発の設置の先送りが一定程度広がったとしても、電力消費の拡大見通しを考慮に入れると、原子力と再生可能エネルギーの展望は今後も強いと確信している」と、アレバのリュック・ウルセル(Luc Oursel)最高経営責任者(CEO)は声明で述べた。

■取引再開後のアレバ株は4%下落

 12日のパリ(Paris)株式市場は、アレバが取引開始時間の直前に行った要請を受けて同社株の売買を停止した。その後取引を再開したアレバ株は、前週末比4%以上安い19.45ユーロでこの日の取引を終えた。

 アレバはベルギー、米国、ドイツでの人員削減を発表するとみられている。ドイツでは、福島原発事故後に原発廃止を発表しているため、約1300人の雇用が失われる可能性がある。(c)AFP

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