【12月3日 AFP】米労働省が2日発表した11月の雇用統計によると、米国の失業率は前月の9.0%から8.6%に下がり、2年8か月ぶりの水準に低下した。

 今回の雇用統計は、景気を敏感に反映する非農業部門の就業者数が前月比で約12万人増加するなど、2008年に起きた世界金融危機以降としてはかなり良い内容だった。不況が続く米経済とバラク・オバマ(Barack Obama)大統領に自信を持たせる材料に見える。

 しかし全面的に見通しが明るいわけではない。専門家らは求職者数が急減したことを挙げ、新しい仕事が見つからないため、あきらめて求職活動そのものを止めた人が増え、そのことが失業率低下に寄与したと指摘している。

 また公共部門の雇用削減が民間の被雇用者数の増加を相殺する状況が続いている中、約12万人という非農業部門の就業者数の増加幅は期待されたほど多くはない。過去12か月の平均13万1000人も下回っている。

 しかし、世界経済に新たな混乱が予感される状況下で今回の雇用統計は、米国が世界経済安定の「いかり」としての役割を再び担うというわずかな希望の光を放った。来年11月の次期大統領選で再選を目指すオバマ大統領にとっても弾みとなりそうだ。

 ただし最近のデータから考えると、失業率はたやすく上昇傾向に戻りうる。そしてオバマ大統領とその顧問たちは、大統領の努力が欧州の金融危機によって損なわれかねないこともよく理解しているだろう。(c)AFP/Andrew Beatty and Veronica Smith