【11月14日 AFP】世界第2位の経済大国である中国を支える不動産市場が、下落を始めた。世界の商品経済に大打撃を及ぼす危険性もあると、専門家は警告を発している。

 不動産バブルを恐れた中国当局が、北京(Beijing)などの一部地域で2軒目の住宅購入を禁止した他、住宅ローンの最低頭金を引き上げ、一部都市で不動産税を試験導入するなどの対策を実施したことから、住宅需要が低下した。

 また同時に、政府がインフレ抑制、不動産価格調整策として、金利を引き上げ、銀行融資を制限したことから、不動産デベロッパーは資金難に陥った。

 中国最大規模の不動産会社「中国鏈家房地産(Home Link China)」によると、10月には、売上急落で北京だけで不動産会社177社が閉鎖した。

 また国営新京報(Beijing News)が発表した公式統計によると、北京市内の住宅在庫は12万件以上に上り、過去29か月で最悪となった。

 一方、上海(Shanghai)では、デベロッパーが一部新築物件の価格を値下げしたため、高値で買った人びとが怒りの声を上げ、10月以降、相次いで抗議デモが起きている。

■新築物件購入者に高級車プレゼントも

 物件の購入予定者は、不動産価格の一層の下落を見込んで買い控えているため、住宅販売は困難となっている。同国東部楽清(Yueqing)では、新築物件の購入者先着150人に、BMWの新車をプレゼントする不動産会社まで現れた。

 香港の野村証券(Nomura Securities)のアナリスト、張智威(Zhang Zhiwei)氏はAFPの取材に、「4半期まで行かないとしても、数か月間は悪影響が出る」と指摘し、「価格は下がり始めたところで、10月の販売データーはかなりひどい」と語った。

 米格付け会社スタンダード&プアーズ(Standard and Poor'sS&P)は前月、中国の不動産価格は2012年中に中国全土で10%下落するとの予想を発表している。(c)AFP/Boris Cambreleng