【10月28日 AFP】日本政府は28日、タイの洪水で被災した日系企業で働くタイ人従業員を日本に受け入れ、一時的に就労を認める方針を発表した。

 記録的な洪水に見舞われているタイでは、日系企業の工場も多数が被害を受け、操業停止を余儀なくされている。既に東日本大震災や円高に苦しむ日本経済にとって、トヨタ自動車(Toyota Motor)やホンダ(Honda Motor)など大企業の生産停止は政治的にも新たな懸念材料となっている。

 藤村修(Osamu Fujimura)官房長官は28日の記者会見で、「日系企業の工場で勤務していたタイ人従業員を、受け入れ企業が確実な帰国担保措置を取ること等、一定の条件の下で、日本での就労を認めることとした」と述べた。「緊急的、一時的措置」(藤村長官)としてタイ人従業員に許可される在留期間は6か月で、受け入れ規模は約30社から数千人に上る見通し。日本での代替生産を模索する日系企業からの要望に基づいた決定という。

 藤村長官は、サプライチェーン(部品調達・供給網)への影響を通じて、洪水被害が日本経済はもとより東南アジア諸国連合(ASEAN)全体の経済活動にも深刻な影響を及ぼしていると指摘した。

 記録的なモンスーンの豪雨などによるタイの洪水は3か月に及んでおり、北部から中部を中心にこれまでに377人が死亡、住宅など数百万棟に被害が出ている。(c)AFP