【9月29日 AFP】欧州連合(EU)欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ(Jose Manuel Barroso)委員長は28日、金融取引税を導入する法案をフランス・ストラスブール(Strasbourg)の欧州議会(European Parliament)に提出した。

 法案は、EU域内の金融機関に対し、金融商品のすべての取引に税金を課すもので、税率は株と債券は0.1%、デリバティブ(金融派生商品)は0.01%。各国が独自に税率を上げることもできる。

 バローゾ委員長は、課税による税収は年間550億ユーロ(約5兆7000億円)にのぼると述べた。

 欧州委員会は、課税の目的を、金融部門に「公正な負担をさせるため」と説明した。2008年の金融危機の際、EUは主に金融機関のために4兆6000億ユーロ(約475兆円)規模の救済策を講じ、結局は納税者が緊縮財政のあおりを受けることとなった。

 ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相とフランスのニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領が8月、金融取引税への支持を表明すると、株価は一気に下落した。金融部門の関係者はEU域外への資本移転を招くと警告。世界の金融取引の中心地である英国も、金融取引がEU域外で行われるようになるとして、金融部門への課税は「全世界的に行われるべきもの」との主張を繰り返した。(c)AFP/Alain Jean-Robert