【8月4日 AFP】EU圏内に広がる財政不安について、英民間調査機関「経済ビジネスリサーチセンター(Centre for Economics and Business ResearchCEBR)」は4日、イタリアは国債が格上げされたとしてもデフォルト(債務不履行)に陥る可能性が高いとの見通しを示した。一方、スペインは危機を回避できるだろうと分析している。

 CEBRによると、イタリアは2014年までの赤字削減を目指した緊縮財政を実施したとしても、著しく経済成長率が伸びない限り、デフォルト危機を乗り越えられないとみられるという。

 イタリアの2011年第1四半期の経済成長率は0.1%に留まっている。CEBRの試算によれば、10年物国債の利回りが現行の6%以上の高水準を維持し、かつ経済の低迷が続いた場合、イタリアの債務残高は現在の国内総生産(GDP)比128%から、2017年までに同150%まで増大する。仮に利回りが4%まで下がったとしても、経済成長が弱いため、2018年もGDP比123%程度に留まるだろうという。

 イタリアでは3日、シルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)首相が議会で行った演説で、経済成長の実現に向けた行動計画が必要だと呼び掛けている。

 一方、同様に債務危機が懸念されるスペインについてCEBRは、イタリアより債務高も低く、想定される最悪の場合でも、債務残高がGDP比75%を超えることはないとの見解を示した。

 イタリアとスペインの10年物国債の利回りはここ数日、6%超にまで上昇している。CEBRは、EU圏内で1か国がデフォルトとなれば、他の国にも影響が波及し、投資家が資金をEU市場から引き上げることになりかねないと警告している。(c)AFP