【6月24日 AFP】雑誌業界が不振に苦しむなか、新しく立ち上げられたウェブサイト「バイライナー(Byliner)」の創設者は、オンライン上でなら事実を物語風に伝える長文ジャーナリズムの需要も、ビジネスチャンスもあると考えている。

 今月21日にベータ(試験)版が公開されたByliner.comは、読者とライター、出版社を記事によってつなぐ架け橋的なウェブサイトだ。出版社750社、ライター3000人による過去100年間の雑誌記事3万2000本を紹介しており、その中にはアーネスト・ヘミングウェー(Ernest Hemingway)やF・スコット・フィッツジェラルド(F. Scott Fitzgerald)といった米国を代表する文豪たちの著作も含まれている。

 ライターの名前をクリックすると、そのライターが書いたさまざまな記事のリストが一覧できる。テーマ別や、出版社ごとに記事をリスト化して表示することも可能だ。

 クリストファー・ヒッチェンズ(Christopher Hitchens)、ジョン・クラカワー(Jon Krakauer)らの現代ノンフィクションと合わせて、1918年にヘミングウェーがトロント・スター(The Toronto Star)に執筆した記事や、1971年に小説家ノーマン・メイラー(Norman Mailer)がライフ誌(Life)に寄稿したボクシングのモハメド・アリ(Muhammad Ali)対ジョー・フレージャー(Joe Frazier)戦の記事なども読める。

 しかし、「バイライナー」は単なる雑誌記事のデジタルアーカイブではない。現在活躍中のライターによるオリジナル記事も掲載する。ユーザーは必読記事リストを作成したり、気に入った記事をユーザー同士で共有したりできる。

「特に探していたわけではない記事に偶然出会い、読む。そういう機会を提供したいのです」と、創設者のジョン・テイマン(John Tayman)CEOはAFPの取材に語った。

 集められている記事のほとんどは、1万~3万5000ワードの長文ノンフィクション記事だ。自身も米誌「ライフ(Life)」や「アウトサイド(Outside)」でライター・編集者を務めたテイマン氏は、長さとして一般的な雑誌記事と書籍のちょうど中間にあたるこれらの記事にこそ需要があると見込んでいる。(c)AFP/Chris Lefkow

【参考】Byliner(英語)