【3月28日 AFP】産油国リビアで1か月にわたって続く情勢不安により、世界の原油市場に張り詰めた空気が満ちている。

 高品質なリビアの「スイート原油」は、情勢悪化で産出がほぼ止まった。最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐が抗戦の構えを崩さず、反体制派との戦闘が激化するなか、リビアでの産油再開は当分先になるとみられる。

 こうした中、石油業界は代替品を求めて、世界各地で新たな産油国を探し回っている。

■世界市場のわずか2%・・・だが高品質

 数字の上では、リビアの産油量は日量170万バレルで世界需要のわずか2%に過ぎない。しかも産油大国のサウジアラビアはすでに、この不足分を補うため増産を始めている。

 だが、原油市場が懸念するのは、量ではなく、質の面だ。

 リビアの低硫黄のスイート原油は、石油への精製が非常に容易なのだ。一方、サウジアラビアの原油の大半は質の面で劣るぶん、精製も困難になる。

 リビアほどの高品質原油を産出する油田を探すのは、たやすいことではない。条件に合致する油田はごく一握りだけ。原油市場の分析や情報提供を行う「IHS CERA」の原油アナリストは、品質の面でリビアに匹敵する油田を持つ国として、アルジェリア、アンゴラ、ナイジェリアを挙げた。この3か国における原油需要は、リビア危機の勃発以来高まる一方で、価格も高騰している。

■石油精製のピーク近づく、さらに高騰も

 現在のところ、各精油所は備蓄分を精製に回していたため、原油不足は問題化していなかった。だが、いずれは精製のより難しい原油を調達してやりくりするか、高品質な原油を高値で調達するかを選ばざるを得なくなる。

 米エネルギー省エネルギー情報局(Energy Information AdministrationEIA)では、リビア危機が長期化すれば「夏のガソリン需要ピークに備えた増産時期とぶつかることになる」と警戒を強めている。

 いずれにしろ、精製コストの上昇は避けられない公算が高く、その影響は大きな者になるだろう。

 リビア東部ベンガジ(Benghazi)で2月半ばに反体制デモが発生して以来、世界の原油価格は1バレルあたり15~20ドル(約1200~1600円)上昇している。(c)AFP/Andrew Beatty