【2月10日 AFP】9日、世界の金融地図を塗り替える証券取引所の大型合併の発表が相次ぎ、激しさを増す国際金融市場間の競争にいっそうの拍車がかかった。

 まず、ロンドン証券取引所(London Stock ExchangeLSE)と、トロント証券取引所を運営するカナダのTMXグループ(TMX Group)が、合併で合意したと発表。その数時間後、ニューヨーク証券取引所(New York Stock ExchangeNYSE)などを運営するNYSEユーロネクスト(NYSE Euronext)と、フランクフルト証券取引所(Frankfurt Exchange)を運営するドイツ取引所(Deutsche Boerse)が、合併に向けた協議を進めていると発表した。

 ニューヨーク、パリ(Paris)、ブリュッセル(Brussels)、アムステルダム(Amsterdam)の株式市場を運営しているNYSEユーロネクストは、現在でも国際株取引の3分の1の取引量と世界一の流動性を誇る。ドイツ取引所との合併が実現すれば、特にデリバティブ(金融派生商品)取引に強みを持つ世界最大の証券取引所が誕生するとみられる。

■加速する合併戦略、マイナス側面も

「証取の合弁は、収益と経費のシナジーが見込まれる点と、戦略的なポジショニングという見地から道理にかなっている」と、金融情報サービス会社モーニングスター(Morningstar)のアナリスト、マイケル・ウォン(Michael Wong)氏は解説する。

「(NYSEユーロネクストとドイツ取引所が合弁すれば)おそらく世界で最も有力な証券取引所が誕生するだろう。先物取引のプラットフォームが広がり、上場企業は多様化し、(NYSEユーロネクストが欧州でクリアリングビジネスを構築する)必要性は下がるだろう」

 証券取引所を合併に駆り立てているのは、激しくなる一方の新規上場企業の獲得競争や、ライバルとなる新興市場の登場だ。しかし、巨大市場の創設をめぐっては、市場に「少数の強大なプレーヤーしかいなくなる」恐れを指摘する声もある。

 また、巨大化した市場を誰がどのように規制するのかという問題もある。投資会社Meeschaert Capital Marketsのグレゴリー・ボロキン(Gregory Volokhin)氏は、「(合併によって)規制と技術面で管理が複雑になる。安全性や透明性の向上にはつながらないのではないか」と懸念を示している。(c)AFP/Marine Laouchez and Germain Moyon