【1月27日 AFP】(一部更新)米格付け会社スタンダード&プアーズ(Standard & Poor'sS&P)は27日、日本の財政赤字は今後も拡大を続けるとの見通しから、日本の長期国債の格付けを「AA」から「AAマイナス」に下げたと発表した。

 菅直人(Naoto Kan)首相は24日、6月末までに社会保障制度と税制の抜本的な改革の基本方針を示すと述べていたが、S&Pは「民主党(Democratic Party of JapanDPJ)政権には日本の財政赤字の悪い側面に対処する一貫した戦略が欠けているように思われる」としている。

 S&Pの発表を受けて為替相場は円安に動き、一時1ドル=83円台をつけた。

 コンサルタント会社キャピタル・エコノミクス(Capital Economics)は顧客向けのレポートで、今回の格下げについて「2011年は日本の切迫した財政問題が国内外の市場に打撃を与える可能性があるという、われわれの懸念を補強するものだ」と説明した。

 大和総研(Daiwa Institute of Research)のエコノミスト、渡辺浩志(Hiroshi Watanabe)氏は、民主党は財政規律を口にする一方、大規模で意欲的な政策は実行していないと指摘し、日本政府の財政政策は信頼されていないと言う。

 今回の格下げによって、日本政府が国際金融市場から資金調達する際の金利負担が増える可能性があるが、日本国債の約95%を国内の銀行や年金基金が保有しているため、日本は当面の財政は維持できる。しかし高齢化が進んで貯蓄が減れば、この状況は変わる可能性がある。

 アナリストの間では、消費税増税と社会保障費の削減が対策の1つとして挙げられている。(c)AFP/David Watkins