【11月28日 AFP】インドの大富豪ムケシュ・アムバニ(Mukesh Ambani)氏(53)が、10億ドル(840億円)以上をかけてムンバイ(Mumbai)市に建てた27階建ての「自宅」の新築を祝うパーティーが26日、開かれた。

 パーティーには約80人の著名人や有力者が出席。インド紙タイムズ・オブ・インディア(Times of India)によると、27階建ての豪邸は、スラムや混雑する道路を見渡す場所にそびえたっているという。

 アムバニ氏は、インドの石油精製・化学最大手リライアンス・インダストリーズ(Reliance Industries)を率いる。同社はインド最大の民間企業でもある。

■寺院、映画館、図書館を完備

 パーティーに出席した作家のショバー・デ(Shobhaa De)氏は、個人の住居としては世界最高額といわれるこの建物ついて、「21世紀のタージマハル」だと語る。同氏は、「インドで一番広くてきらびやかなダンスホール。ベルサイユ宮殿(Palace of Versailles)ですら霞んで見える」とコメント。ごちそうが置かれたテーブルが、「どこまでも続く壁沿いに」並べられていたという。

 大西洋にあるとされた伝説の島、「アンティリア(Antilia)」と名付けられた、この高さ174メートルの豪邸に住むのはアムバニ氏とその妻、そして3人の子どもたち。建物内には駐車場が6フロア、プール、映画館がある。さらに一階には寺院、最上階には図書館まで完備されている。建物の管理のために600人のスタッフが必要だという。

 米誌フォーブス(Forbes)によるとアムバニ氏はインド1の資産家で総資産額は270億ドル(約2兆3000億円)に上る。

■近くにはスラムも

 貧困撲滅運動に関わる活動家らは、1800万人と推定される住民の半分が水道も電気もないスラムに住んでいるムンバイの実情とこの豪邸の違いの大きさを指摘する。アムバニ氏の家のすぐ近くには外国の公館や高級ブティックがあるが、そのそばでは多くの家族が一家全員で路上や高架下で生活している。

 パーティーに招待されたゲストの1人は、「ムンバイの空気は汚いけど高く上がれば新鮮な空気が吸える。素晴らしいよ」と語った。上層階からはアラビア海の景観も楽しめるという。

 家にはアルバニ氏の母親用の部屋もある。母親はアンティリアとアルバニ氏の弟のアニル・アムバニ(Anil Ambani)氏の14階建ての家を行き来するとみられる。以前は家族全員がアニル氏の家の一つ屋根の下に暮らしていたという。もっとも前述のショバー・デ氏によれば、別々の階に分かれて住んでいたということだが。

 弟のアニル氏は同じ日に自宅で別のパーティーを開いていた。2人は、2002年に父親が遺書を残さずに死亡してから、膨大な資産の配分で争っていた。争議はことし5月にようやく解決したが、その後も2人が顔を合わせることはほとんどない。(c)AFP

【関連記事】富裕「新マハラジャ層」による消費活発