【10月21日 AFP】電気製品やハイテク製品の製造に欠かせないレアアース(希土類)について、主要輸出国である中国が輸出枠を削減する可能性が報じられたことを受け、ドイツ政府は20日、国内企業がレアアースを確保できるよう外交面から支援していく戦略を明らかにした。

 ライナー・ブリューデレ(Rainer Bruederle)経済技術相は、工業大国ドイツにとってレアアースの安定的な供給を確保することは「極めて重要」だと指摘した。

 政府は声明で、レアアース供給源の確保は各企業の責任であるものの、外交政策で企業を支援していくことを誓約。

   「原材料(確保の)戦略の一部は、特定の国とのパートナーシップを強化することだ」と述べた。具体的な国名は挙げていない。

■「30%削減」報道、中国は否定

 レアアース供給の95%を中国に依存している日本は、9月に尖閣諸島沖で起きた中国漁船との衝突で日中関係が緊張する中、中国がレアアース輸出を制限していると非難している。

 中国はレアアース需要の増加と価格高騰に伴い、年間輸出量を2006年以降5~10%削減しており、国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)は19日、中国商務省高官の談話として、11年から輸出枠を最大30%削減する可能性があると報じた。この報道について商務省は20日夜、ここへ来て新たに削減はしないと否定し、報道を激しく批判した。

 一方、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は、日米政府が中国を世界貿易機関(WTO)に提訴することも検討していると報じている。

 ブリューデル経済技術相は今月来日した際、日本のレアアース確保の支援を約束し、新たな供給源開拓のために日独が協力して取り組む方針を示唆した。アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相は前週行った演説で、欧州はレアアースの安定供給を確立する政策を策定する必要があると訴え、その中で「中央アジアにはレアアースのほか、注目すべき埋蔵資源が幅広くある」と語っている。(c)AFP

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